日本システム論                         №00058


【今朝の新聞記事から】

 日銀によると、国内民間企業(金融を除く)の9月末時点の金融資産残高は約791兆円。

 このうち27.2%を占める約215兆円が現預金で、過去最高に達した。

 現預金残高はリーマン・ショック後の2008年12月末から16四半期連続で前年同期比で増えている。

 世界経済の先行き不透明感や国内需要の低迷を背景に、投資に慎重な企業に「待機マネー」が滞留している形だ。

 安倍新政権はデフレ脱却を最重要の政策課題に掲げるが、眠った投資マネーをどう動かすかが喫緊の課題となる。

 12月28日 日本経済新聞朝刊5面より編集


【私の視点】

 安倍首相が予定している大胆な金融緩和の目的は、金融緩和によって銀行の貸し出しが増え、企業がそれを借りて行う民間投資が活発になるという流れなのですが、既に企業はお金持ちですね。

 金融緩和とセットで10年間で200兆円という公共事業も予定されており、その公共事業が民間投資を引き出し、地域経済の発展や雇用の創出に結び付けたい考えです。

 企業もどこに投資をしたら儲かるのかよくわからなくて、結果、現金を持っているのが一番安心といったマインドの結果がこの積み上がった215兆円の現預金残高なのでしょう。

 「国土強靭化」が呼び水になって、経済が活性化する強い流れが起きると良いですね。

 ただ、想定通りの民間投資が起こらないと、国の借金が増え金利だけが上がって、変動金利で住宅ローンを抱えている家計や、現預金が少なく銀行借入残高が多い中小企業が苦しむ結果になります。

 安倍首相には、大胆に、そして慎重にアベノミクスのかじ取りをお願いしたいです。

 今日は以上です。