劇場版ラジエーションハウス

監督：鈴木雅之
ｷｬｽﾄ：窪田正孝／本田翼／広瀬アリス
配給：東宝
公開：2022年4月
時間：115分

今夜紹介するのは，今までの医療ドラマとは一線を画す“裏方の活躍に焦点を当てた新しい医療ドラマ”として多くのドラマファンを惹きつけた『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』の劇場版。2015年から『グランドジャンプ』(集英社)に連載中の，原作：横幕智裕／漫画：モリタイシによる漫画を原作とする医療ドラマだ。診療放射線技師と放射線科医という“１枚の写真から見えない病を見つけ出すエキスパートたち”が織りなすヒューマンドラマが話題となり，２クール＆TVSPともに高視聴率をマークしている。

窪田正孝をはじめ，本田翼，広瀬アリスなど“チームラジハ”が，ラジエーションハウスから“外の世界”へ飛び出し，史上最大の困難に立ち向かう物語。監督はTV版に引き続き『HERO』『マスカレード・ホテル』の鈴木雅之。

甘春総合病院の放射線技師・五十嵐唯織（窪田正孝）は，大好きな甘春杏（本田翼）がワシントン医大へ放射線科医としての腕を磨くために留学することが決まったため落ち込んでいた。お別れまでのカウントダウンを胸に刻む唯織のことを，ラジエーションハウスのメンバーは元気付けようとするが，唯織への秘めた想いを抱える広瀬裕乃（広瀬アリス）だけは，自らの進むべき道について悩んでいた。

そんな中，杏の父親・正一（佐戸井けん太）が危篤との連絡が入る。無医島だった離島に渡り，小さな診療所で島民を診てきた正一だが，杏が父のもとに着いてほどなく「病気ではなく，人を見る医者になりなさい」という言葉を残し，息を引き取る。生前，父が気に掛けていた患者のことが気になり，島に１日残ることにする杏。そこに大型台風，土砂崩れ，そして未知の感染症が襲いかかる。遠く離れた地で杏が孤軍奮闘していることを知った唯織は，大切な仲間を守るため，そして苦しむ島民を救うため，ある決心をするのだったが…。

医療ドラマも，外科医や大病院の組織的なものを題材としたものから，様々な要素を融合させたり視点を変えてみたりと，近年特にバージョンアップの見られる分野だ。この『ラジハ』も，あまりスポットライトを浴びることのなかった放射線技師の仕事に焦点を当て，医師が見逃してしまうような案件を技師の手技によってカバーし，患者を救っていくというベースと，唯織と杏の淡い恋が上手くブレンドされている。

映画らしい舞台の広がりと，アクシデント感，さらには離島医療にも触れる，とてもまとまった１本。と同時に，映画なんだから，もう少し派手なシーンが欲しかった気もする。

共演は他に，山口紗弥加，遠藤憲一，山崎育三郎など。