ガメラ2/レギオン襲来 | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:Gamera 2: Attack of the Legion
監督:金子修介(本編)/樋口真嗣(特撮)
キャスト:水野美紀/永島敏行/石橋保
配給:東宝
公開:1996年7月
時間:99分




ガメラ/大怪獣空中決戦』の配給収入は5億2000万円。これは目標の半分ほどだったが,かろうじて黒字。しかし,ガメラのキャラクターが世間に浸透したという判断からシリーズ化が決定されたという。この『ガメラ2/レギオン襲来』が公開されたのは,そんな前作の翌年。自衛隊の全面協力によるリアリティとミニチュア特撮が融合して高い評価を獲得し,映画作品として初めて日本SF大賞を受賞するなど特撮映画の名作として知られている。監督は前作に引き続き金子修介&樋口真嗣。主題歌にはウルフルズの『そら』が採用されている。

“レギオン”の名の由来は,作品中にも触れられるが,『新約聖書』のマルコ福音書5章9節でイエスに追い出された悪霊の名前という。『聖書』に結びつけることで,このガメラの闘いが人間にとって終末的な意味合いを持つことを強く印象づける。オープニングでも十字架がタイトルの『ガメラ2』の「メ」の文字に重なる演出が見られる。

ギャオスとの戦いから1年後の冬。突如地球に降り注ぐ流星雨。だが北海道支笏湖付近に墜落した隕石はクレーターだけを残しその形跡を消していた。生物汚染を危惧する自衛隊化学学校の渡良瀬(永島敏行)と花谷(石橋保)は追跡調査を続けるが,工場から大量の瓶が消失している事件に遭遇する。隕石の墜落現場で出会った青少年科学館の学芸員・穂波碧(水野美紀)からは,ファイバーケーブルも同様に消失していることを聞く。何かが支笏湖から札幌に向かって移動しているらしい。そして隕石落下から5日目,札幌市営地下鉄のトンネル内で巨大な昆虫によって乗客が襲われる事件が発生。時を同じくして,高さ数十メートルの巨大な植物がすすきののデパートを突き破って出現したのだ。

怪虫(群体)と植物(草体)は流星群と共に外宇宙から飛来したもので,互いに共生関係にあると考えられた。“レギオン”と名付けられた怪虫を一掃する爆破作戦が開始されたが,穂波がNTTの帯津(吹越満)に算出してもらった被害シミュレーションでは,現場の高濃度酸素が災いし,草体の爆発力は札幌を壊滅させるに充分なものだった。その時,三陸沖からガメラが突然浮上。群体と草体を撲滅しようとするのだったが…。

九州から東京へ向かった前作のギャオス。レギオンは北海道から仙台経由で東京へ向かう。もう,そこ2年で南から北から好きなように怪獣の縦断を許してしまうわけだが,〈平成ゴジラシリーズ〉の善悪のハッキリしないゴジラと較べると,ガメラのキャラは徹底してヒーロー然として描かれていて,カタルシスと充足感は高い。

水野美紀はこの作品の半年後に始まるTVドラマ『踊る大捜査線』の柏木雪乃役で,さらに幅広い世代に認知されることとなる。エンドロールにも出ないエキストラだが,ソルジャーレギオンから逃げ惑う地下鉄乗客役で大泉洋,隕石落下の急報を伝える自衛隊員役で安田顕も出演している。


映画クタ評:★★★★


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◆シリーズ一覧◆

ガメラ/大怪獣空中決戦』(1995年)

ガメラ3/邪神〈イリス〉覚醒』(1999年)