孤狼の血 LEVEL2

監督：白石和彌
ｷｬｽﾄ：松坂桃李／鈴木亮平／村上虹郎
配給：東映
公開：2021年8月
時間：139分

今夜は，前作『孤狼の血』から３年ぶりに公開された続編『孤狼の血 LEVEL2』を紹介。『仁義なき戦い』を筆頭に，ヤクザ映画で日本映画を牽引してきた東映が，『仁義なき戦い』のDNAを継承しつつ作り上げた作品だ。ストーリーは柚月裕子の原作小説では描かれていない完全オリジナルとなる。監督は前作に続き白石和彌。

広島県警で“伝説”と称された先輩刑事・大上がこの世を去ってから３年。彼の遺志を受け継いだ呉原東署の刑事・日岡秀一（松坂桃李）は一匹狼となって，広島の裏社会に安定をもたらすため奔走していた。目的のためには汚い手段もいとわない彼のやり方で，暴力組織はどうにか危うい均衡を保っていたのだ。

そんなある日，上林成浩（鈴木亮平）という男が７年の刑期を終え出所する。上林は自分が服役中に殺された五十子会長の仇をとることに執念を燃やし，原因となった抗争の黒幕を突き止めようとしていた。そんな上林の常軌を逸した暴走で，かろうじて保たれていた裏社会の秩序が崩れ始めるのだったが…。

前作で，養豚場で糞まみれになりながら証拠として見つけ出した“狼のジッポー”と大上の意志を引き継ぎ，ワイルドな“狼”になった日岡を通して，様々な役を演じる中で俳優として成長した松坂桃李が，冒頭から綺麗事でない輝きを放つ。対峙するのは圧倒的な残虐性で混沌をもたらす非道な最凶モンスター上林を演じる鈴木亮平。２人の壮絶な戦いに，暴力団の抗争，警察組織の闇，マスコミの策謀，身内に迫る魔の手と，贅沢なほどに盛り込まれた展開が，緊張感とアドレナリンを上がりっ放しにしてくれる。日本アカデミー賞では，鈴木亮平にキャリア初となる最優秀助演男優賞をもたらした。

共演は他に，村上虹郎，西野七瀬，中村獅童，吉田鋼太郎など。個人的には寺島進の無様なカッコよさがたまらなかった。

今の世の中の閉塞感を吹き飛ばす熱量を持つシリーズ。すでに松坂桃李主演で続編の製作が発表されている。