監督:福田純(本編)/中野昭慶(特撮)
キャスト:大門正明/青山一也/田島令子
配給:東宝
公開:1974年3月
時間:84分
沖縄の日本復帰記念事業として1975年に開催された“沖縄国際海洋博覧会(Expo'75)”。この前年PRと“ゴジラ誕生20周年記念”をカップリングして作られたシリーズ第14弾。人気怪獣メカゴジラと,沖縄色を生かしたキングシーサーの初登場作品だ。
当時のゴジラシリーズには珍しく子役俳優がまったく登場しない一方,平田昭彦,小泉博など往年のゴジラシリーズや特撮作品の常連俳優が多数出演し,“原点回帰”を思わせるキャスティング。監督は引き続き福田純&中野昭慶。
沖縄海洋博の工事現場である洞穴から奇妙な壁画と獅子の置物が発見される。建築技師の清水敬介(大門正明)は,現場で知り合った首里大学考古学教室の金城冴子(田島令子)を伴い,叔父でもある考古学の権威・和倉博士(小泉博)を訪れる。一方,敬介の弟・正彦(青山一也)が玉泉洞で見つけた未知の金属片は,宇宙工学の権威・宮島教授(平田昭彦)の調査で“スペース・チタニウム”だと判明する。
まもなく,富士山からゴジラが出現するが,その前に仲間のはずのアンギラスが立ちはだかり,2体の怪獣は御殿場で死闘を繰り広げる。アンギラスを撃退したゴジラは次にコンビナートを蹂躙していく。御殿場の激闘の焼け跡でまたしても“スペース・チタニウム”を発見した敬介と宮島教授一行はゴジラの後を追うが,そこにもう1体のゴジラが現れたのだった…。
“ゴジラ生誕20周年記念”に相応しく作り出された,“ゴジラvsゴジラ”という図式。“大宇宙ブラックホール第三惑星人“というネーミングはヘンテコだが,”異星人侵略テーマ”とキングシーサーをめぐる“伝奇ミステリ”の趣向を融合させたストーリーも娯楽性に富み,テンポ良く肩の凝らない1本。
見どころは多いが,やはり“メカゴジラ”。デザイン・造型の素晴らしさはもちろん,足元からパンアップしながら手や口といった各パーツの可動ショットを細かくインサートしていく登場時のシーン,全面のゴジラと背面のキングシーサーを前後同時に圧倒的火力で攻撃するカットなど,迫力に満ちている。
クタ評:★★★★☆
『ゴジラ』シリーズ作品まとめ