ルパン三世/ルパンVS複製人間 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:吉川惣司
キャスト:山田康雄/増山江威子/小林清志
配給:東宝
公開:1978年12月
時間:102分




4月に逝去した漫画家モンキー・パンチを偲んで,6夜連続で『ルパン三世』シリーズを紹介。

手塚治虫の漫画の影響を受けて漫画を描き始め,高校卒業後すぐに北海道から上京したモンキー・パンチ。1967年に誕生した『ルパン三世』はアニメ化され大ヒットし,半世紀に渡りファンに愛されるキャラクターとなっている。

そんな『ルパン三世』の劇場映画第1作目となったのがこの作品。旧TVシリーズ初期の雰囲気が色濃い,硬派な作品だ。劇場公開時の作品タイトルは『ルパン三世』だけだったが,ビデオソフト化の際に以後の劇場作品と区別するため,パッケージタイトルとして『ルパンVS複製人間』という副題が付いた。監督は,アニメ監督,脚本家,演出家,アニメーター,舞台演出家など,マルチに活躍する吉川惣司。彼のキャリアの中で唯一の,劇場公開の長編映画監督作品だ。

ルパン三世(山田康雄)が処刑されたという事実を信じられないインターポールの銭形警部(納谷悟朗)は,ルパンが埋葬されているドラキュラ城へ行き,生きていたルパンを取り逃がす。ルパンはさっそく次元大介(小林清志)と共にエジプトへ向かい,ファラオの墓から“賢者の石”を盗み出し,それを峰不二子(増山江威子)に渡すが,不二子はその石の入手を,マモー(西村晃)と名乗る不気味な男から依頼されていた。だが,渡した石はルパンがすり替えた偽物だったのだ。マモーに捕らえられたルパンは,“賢者の石”が不老不死の力を得るために必要な秘宝だと知る。

一方,不二子をかばうルパンに愛想をつかした次元と石川五ェ門(井上真樹夫)はFBIのゴードン(柴田秀勝)に拘束され,マモーの本拠地を問い詰められる。どうやらマモーは神を名乗り,世界各国を脅迫しているらしい。はたしてマモーの正体は何者なのか? 全世界を手中に収めようとするマモーとルパンの戦いが始まるのだったが…。

ファンの間で根強い人気のある作品で,公開から40年を経ても,まったく古さを感じない。公開された1978年はイギリスで“試験管ベビー”と呼ばれる世界初の体外受精児が誕生した年。“クローン”はこの年の旬のテーマでもあったらしい。細胞分裂の限界など,クローンに関する知見を盛り込まれたストーリーは秀逸。

ゲスト声優として,ソ連邦共産党書記長役で漫画原作者の梶原一騎,アメリカ大統領役で赤塚不二夫,エジプト警察署長役で歌手の三波春夫が参加している。

また,2017年には期間限定でMX4D版が劇場公開。映像を4Kリマスター化し,音声も5.1chデジタルサウンドにグレードアップされた。


映画クタ評:★★★★


右矢印『ルパン三世』シリーズ作品まとめ