デス・ウィッシュ | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Death Wish
監督:イーライ・ロス
キャスト:ブルース・ウィリス/ヴィンセント・ドノフリオ/エリザベス・シュー
配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー/アンナプルナ・ピクチャーズ/ショウゲート
公開:2018年10月
時間:107分




ここのところファンとしてはスッキリしない役回りの多かったブルース・ウィリスだが,久しぶりに“らしい”ブルースを見ることができた。一昨夜と昨夜の口直しの意味も込めて,そんな1本を今夜は紹介。ブライアン・ガーフィールドが1972年に書いた小説を原作としたチャールズ・ブロンソン主演の『狼よさらば』(1974年・パラマウント)のリメイクとなる。“新世代のホラー映画監督”と呼ばれるイーライ・ロス監督にとっては,アクション映画への初挑戦となった。

穏やかな性格で争いごとを好まない外科医のポール・カージー(ブルース・ウィリス)は,シカゴで妻と娘と一緒に暮らしていた。犯罪の多発するシカゴで,犯罪に巻き込まれた救急救命の患者の生死に立ち会い続ける彼にとって,幸せに満ちた家庭だけが唯一の平穏の場だった。しかし誕生日の夜,病院に呼ばれてポールが不在の自宅に3人組の強盗が押し入り,妻のルーシー(エリザベス・シュー)は殺害され,大学入学を控えた娘のジョーダン(カミラ・モローネ)は意識不明の重体に陥ってしまう。

悲嘆に暮れるポールだったが,義父のベン(レン・キャリオー)の言葉や,一向に進まない警察の捜査に,拳銃を持つことを決意する。野放しのままの憎き犯人への復讐を誓い,やがて,正体を隠して犯罪の多い夜の街へと繰り出すポール。しかし彼の姿がネットで拡散し,マスメディアはポールを“シカゴのグリム・リーパー(死神)”と呼ぶようになるのだったが…。

舞台を現代に置き換え,スマートフォンやカーナビ,SNSやネット動画といったハイテク要素を効果的に盛り込んだだけでなく,原作小説では公認会計士,C・ブロンソン版の『狼よさらば』では建築士だったポールの職業を,この作品では外科医にしたのが最大の妙味。患者を救う“医者”と“処刑人”という表と裏の顔の対照性に加え,闘いで負った傷を自分で処置したり,拷問に医学知識を活用したりと,外科医の設定が効果的に物語を盛り上げていく。

ブルースが過去に演じたキャラクターへのオマージュも嬉しい。フード付きのパーカーで処刑人となる姿は『アンブレイカブル』のデヴィッドに重なるし,家族の思い出が刻まれた腕時計への執着は『パルプ・フィクション』(1994年・ミラマックス)の落ち目のボクサー,ブッチを思い出させる。

全米公開の半月前に,フロリダ州の高校で銃乱射事件が発生したため,拳銃を使った自警行為への批判が相次ぎ,興行的に苦しい作品となったのは残念だが,ブルースのファンとしては満足できる1本だ。


映画クタ評:★★★★


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