チューリップ・フィーバー/肖像画に秘めた愛 | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Tulip Fever
監督:ジャスティン・チャドウィック
キャスト:アリシア・ヴィキャンデル/デイン・デハーン/ジュディ・デンチ
配給:Worldview Entertainment/ファントム・フィルム
公開:2018年10月
時間:107分




2夜連続アリシア・ヴィキャンデル特集。今夜は,“チューリップ・バブル”が過熱する17世紀のオランダを舞台にした『チューリップ・フィーバー』を紹介。製作や公開の段階で何度も中止や延期に見舞われたいわく付きの作品となった。

もともとは2004年に企画された作品で,当時はジュード・ロウ,キーラ・ナイトレイ,ジム・ブロードベントが出演予定,『恋におちたシェイクスピア』(1999年・ミラマックス)のジョン・マッデンが監督を,スティーヴン・スピルバーグとドリームワークスが製作をつとめる予定だった。しかし,イギリスの税制変更の影響で撮影のメドが立たなくなり,お蔵に。10年後にジャスティン・チャドウィック監督のもと,配給もキャストも一新して撮影され,2017年に全米公開。日本公開はそれから1年後となった。

原作はデボラ・モガーの小説『チューリップ熱(Tulip Fever)』で,モガー自身が脚本にも参加。フェルメールの絵画から着想を得,絵画の世界をベースに,チューリップ球根の価格が異常に高騰し,突然に下降した3ヶ月ほどの“チューリップ・バブル”を絡めて描かれるラブストーリーだ。

経済的な栄華を極める17世紀のオランダ,アムステルダム。人々はチューリップに熱狂し,中でも希少な縞模様の入った“ブレイカー(色割れ)”と呼ばれるものなどは球根1つが邸宅1軒にも相当するほど投機が過熱していた。孤児として聖ウルスラ修道院で育った美しい少女ソフィア(アリシア・ヴィキャンデル)は成人すると,富豪で有力者である商人コルネリス・サンツフォールト(クリストフ・ヴァルツ)に嫁ぐが,期待される子供をなかなか授からずにいた。

そんなある日,コルネリスはソフィアとの肖像画を描かせるために,将来を嘱望されている若手画家ヤン・ファン・ロース(デイン・デハーン)を雇う。ヤンはソフィアの姿を観た瞬間,恋に落ち,ソフィアも徐々に彼に惹かれていく。その頃,サンツフォールト家の女中マリア(ホリデイ・グレインジャー)と恋をしていた魚売りのウィレム(ジャック・オコンネル)は,マリアとの結婚のため,“マリア提督”と名付けられた白と真紅のブレイカーの球根の証明書を入手する。しかし彼は,ヤンと逢瀬を重ねるソフィアの姿をマリアと勘違いしてしまうのだった…。

ひと言で表すと,『昼顔』(2017年・東宝)と『ロミオとジュリエット』と『タイタニック』を足して3で割り,17世紀のオランダに持っていって贅沢にした感じ。しかし,真っ直ぐなヤンと,惑うソフィアと,チューリップ・バブルに翻弄される2人の運命が,スピーディーに展開し飽きさせない。

修道院長の役のジュディ・デンチの存在感や,こちらも翻弄されるマリアとウィレムなどを通して,様々な“愛のカタチ”に帰結させる物語は,個人的に好き。ただ,興行的には大赤字で,批評家からも酷評が相次いだ。


映画クタ評:★★★★


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