ブレードランナー 2049 | p・rhyth・m~映画を語る~

p・rhyth・m~映画を語る~

メインブログ【くた★むび】



原題:Blade Runner 2049
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
キャスト:ライアン・ゴズリング/ハリソン・フォード/アナ・デ・アルマス
配給:ワーナー・ブラザース/ソニー・ピクチャーズ
公開:2017年10月
時間:163分




リドリー・スコット監督によって前作で描かれたデッドテック・フューチャー(退廃的未来)はいつしか“SFの金字塔”と呼ばれるようになった。近未来が光り輝くとは限らないという視点は,その後の近未来像に多大な影響を与え,数々の作品でリスペクトされることになる。そして35年後,その“伝説”は更なる進化を見せてくれた。ある意味“マニアック”と言えるこのシリーズだが,また次世代の製作者たちの指針となる未来像を示してくれたように思う。

リドリー・スコットは製作総指揮へと退き,監督に抜擢されたのはは『プリズナーズ』『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。主演は『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリング。前作から引き続き,デッカード(ハリソン・フォード)とガフ(エドワード・ジェームズ・オルモス)の登場も嬉しい。レイチェルの登場シーンもあるが,こちらは代役にCGで作り上げた頭部を合成したもの。第90回アカデミー賞では撮影賞と視覚効果賞を受賞している。

2049年,地球の異常気象と生態系崩壊は更に進行していた。ロサンゼルスは海面上昇で沿岸部の多くを失い,内陸に後退した市街地は巨大な防波堤に囲まれ,6月でも雪が降っていた。LAPD(ロス市警)の“ブレードランナー”として旧型のレプリカントを“解任(抹殺)”する職務に就くネクサス9型レプリカントのK(ライアン・ゴズリング)は,ウォレス社製の家庭用AIであるジョイ(アナ・デ・アルマス)を恋人として暮らしていた。逃亡レプリカントのサッパー・モートン(デイヴ・バウティスタ)を“解任”した際に,その庭にある枯木の根元に埋まったトランクから約30年前に死亡した女性の遺骨を発見したK。遺骨はレプリカントのもので,何と彼女は出産していたのだ。

レプリカントの出産は前代未聞であり,上司であるジョシ警部補(ロビン・ライト)は,社会に混乱を起こさないようにと,Kに痕跡の隠滅を命令する。しかし,自分の記憶との関わりを断ち切れず捜査を進めるKは,遺骨の主がレイチェルで,かつての優秀な“ブレードランナー”デッカードと共に姿を消していたことを突き止める。レプリカントの生殖技術を欲するウォレス(ジャレッド・レト)に指示されたラヴ(シルヴィア・フークス)の追跡をかいくぐり,デッガードが命を懸けて守り続けてきた秘密に迫るK。社会の秩序を崩壊させ,人類の存亡に関わる真実が今,明かされようとしていた…。

アイデンティティを模索するレプリカントの"その後"を真正面から描き,現実の推移を反映し,前作のレガシーをキッチリと受け継ぐ物語。Kは主役と言うよりむしろ“ストーリーテラー”の役目を担う。映像美はもちろん,2時間43分をまったく飽きさせない展開とアクション。そして,前作へのリスペクトと独自性。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の描く,“善悪の概念”や“人間らしさの価値観”が,見終えた後にいつまでも後を引く1本だ。


映画クタ評:★★★★


右矢印ハリソン・フォード作品まとめ

右矢印デイヴ・バウティスタ作品まとめ

右矢印ライアン・ゴズリング作品まとめ

右矢印ロビン・ライト作品まとめ

右矢印ジャレッド・レト作品まとめ


右矢印アカデミー賞受賞作品まとめ


◆シリーズ一覧◆

ブレードランナー』(1982年)