ラヂオの時間 | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:Welcome Back Mr. McDonald
監督:三谷幸喜
キャスト:唐沢寿明/鈴木京香/西村雅彦
配給:東宝
公開:1997年11月
時間:103分




フォローしてくださっている方の中には三谷幸喜ファンも多い様子。そこで,5夜連続で突然始まる〈三谷幸喜まつり〉。すでに紹介している『清須会議』『ギャラクシー街道』に繋がる彼の5本の監督作品を,順に紹介していこうと思う。

今夜は,当時すでにTVドラマ『警部補・古畑任三郎』などで脚光を浴びていた脚本家としての三谷幸喜が,初めてメガホンをとった『ラヂオの時間』。1983年に旗揚げし主宰していた劇団“東京サンシャインボーイズ”の人気絶頂期の演目の1つでもあった。彼が初めて手がけた連続ドラマ『振り返れば奴がいる』の脚本が知らぬうちに書き直されていた,という経験から生まれた作品だという。英題の『Welcome Back Mr. McDonald』は「お帰りなさいマクドナルド」の意味だが,詳細は見てのお楽しみ♪

“ラジオ弁天”のスタジオでは,まもなく始まるラジオ・ドラマ『運命の女』の生放送のためのリハーサルが行われている。初めて書いたシナリオが採用され,この作品によって脚本家としてデビューすることになった主婦の鈴木みやこ(鈴木京香)は,緊張しながらリハを見守っていた。全てのチェックが済み,あとはいよいよ本番を待つばかりとなったが,直前になって主演女優の千本のっこ(戸田恵子)が自分の役名が気に入らないと言い始める。プロデューサーの牛島(西村雅彦)はその場を丸く納めようとして,要求通り役名を“メアリー・ジェーン”に変更した。

しかし,そんなのっこに腹を立てた相手役の浜村錠(細川俊之)が,自分の役名も外国人にしてほしいと言い出し,熱海を舞台にしたメロドラマの台本は,ニューヨークに設定を変更させられる。みやこは,いろいろと辻褄の合わなくなってきた台本を短時間で書き直すことになるが,素人の彼女にそんな器用なことはできず,牛島はまたも急場しのぎに放送作家のバッキー(モロ師岡)にホン直しを依頼。しかし,ドラマの内容を把握していない彼によって,物語はさらにおかしな方向へ。本番開始直前にはミキサー・辰巳(田口浩正)の一言で舞台はシカゴに変更される。さらに浜村が自分の役柄をパイロットだと勝手に言ってしまったことで,物語はますます混迷していく。ディレクターの工藤(唐沢寿明)を筆頭に,スタッフたちは次々にやってくる障害を,行き当たりばったりで乗り越えていくのだったが…。

TVと違い,声とSE(音響効果)だけで,どこまでも壮大なストーリーを作り上げることのできるラジオドラマの世界。ドタバタだが,番組を成立させるために全力を注ぐスタッフたちのプライドと意地とプロ根性が,スピーディなカメラワークやストーリー展開で描かれる。その中に織り込まれるツボを突いた笑いと,舞台で培った演出など,三谷幸喜の冴えた手腕が美味な1本だ。

共演は他に,井上順,小野武彦,布施明,藤村俊二など。


映画クタ評:★★★★


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