火花 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:板尾創路
キャスト:菅田将暉/桐谷健太/木村文乃
配給:東宝
公開:2017年11月
時間:121分




2015年に文芸誌『文學界』に掲載されるや,ピースの又吉直樹が手掛けた純文学小説として話題を呼び,あれよという間に第153回芥川賞を受賞してしまった小説『火花』。1976年以来,芥川賞受賞作品の歴代トップを堅持していた村上龍の『限りなく透明に近いブルー』を,単行本の累計発行部数で39年ぶりに抜く大ヒットとなった。

2016年にはドラマ化され,Netflixで全10話が一挙配信。その後,再編集されたものがNHKでも放送されている。そしてついに映画化。監督は原作者・又吉直樹の先輩芸人で映画監督としても高い評価を受ける板尾創路。

お笑いコンビ“スパークス”のボケ担当・徳永(菅田将暉)。鳴かず飛ばずの日々を送っていたある日,営業先の熱海の花火大会で先輩芸人の神谷(桐谷健太)と出会う。“あほんだら”というコンビで常識の枠からはみ出した漫才を披露する神谷の,天才肌で型破りな芸風と人間性に惚れ込み,弟子入りを志願する徳永。すると神谷は「俺の伝記を書いてくれ」と突飛な条件を出し,徳永を弟子に迎える。

こうして2人の奇妙な師弟関係が始まる。徳永は神谷との日々をノートに書き綴り,神谷のお笑い哲学に深く心酔していく。やがて,拠点を大阪から東京に移した神谷に再会した徳永は,毎日のように芸の議論を交わし,神谷の同棲相手である真樹(木村文乃)とも親しくなる。仕事はほぼないが,才能を磨き合う充実した日々。しかし次第に,2人の間にわずかな意識の違いが生まれてくるのだった…。

“お笑いの世界に生きる若者たちが,夢と現実の狭間でもがきながら繰り広げる熱い人間模様”というと,特に中盤までは『ボクたちの交換日記』とカブる部分もあるのだか,『ボクたちの交換日記』がドラマ仕立てで押してくるのと比べ,この『火花』は原作の芥川賞の“芸術性”を残しつつ,取っつき易い“吉本カラー”で染め上げた感じ。

心の中で“スパークス”に見切りをつけることになる徳永と,精神的に“あほんだら”を貫き通す神谷の10年が,それぞれの相方である山下(川谷修士),大林(三浦誠己)の存在でリアリティーを増し,さらに,真樹の可愛すぎる“変顔”がアクセントと穏やかさを添えてゆく。


映画クタ評:★★★★


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