箱入り息子の恋 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:市井昌秀
キャスト:星野源/夏帆/平泉成
配給:キノフィルムズ
公開:2013年6月
時間:117分




この映画を見てフッと,2002年に発売された,みうらじゅん・伊集院光共著による『D.T.』を思い出した。“D.T.”とは童貞のこと。2人によると「童貞時代が長かった男性ほど想像力豊かな人間になれる」とか。そんな『D.T.』が話題の本となってからはや16年。急速に発達したメディアの中で育った,現代の“草食系”とか“絶食系”と呼ばれる男子たちも,やはり想像力豊かなのだろうか?

音楽家・俳優・文筆家として多彩に活躍する星野源。映画初主演となるこの作品で彼が演じるのは“35歳童貞男”。そんな主人公が目の不自由な女性に恋をしたことから急激に変化していく姿と,彼らをとりまく家族の姿を描いた“ボーイ・ミーツ・ガール”的な恋物語だが,単にラブ・ストーリーというカテゴリにはとても収まりきれない“激しさ”が,後半一気に加速してゆく。監督・脚本は,『無防備』(2007年)で世界的にも注目された市井昌秀。

市役所に勤める35歳の独身男性・天雫健太郎(星野源)。生真面目で内気な性格のため人付き合いが苦手で,友だちも恋人もはなから諦め,家と職場を往復するだけの日々。趣味は貯金と格闘ゲームで,ペットのカエルが唯一の癒し。そんな健太郎を見かねた父・寿男(平泉成)と母・フミ(森山良子)は,親同士が子どもの結婚相手を探す“代理見合い”に参加する。そこで今井奈穂子(夏帆)の両親と会う。

ひょんな事から健太郎の人柄を知った奈穂子の母・玲子(黒木瞳)は,夫・晃(大杉漣)の反対を押し切り,健太郎と奈穂子の正式にお見合いを取り計らう。病気のために目が見えないが,清楚で美しい奈穂子を見て,生まれて初めて恋に落ち,“好き”という感情を爆発させる健太郎。しかし,2人の行く手には多くの壁が立ちふさがっていた…。

ユーモアとシリアスを絶妙にブレンドしながら描かれる,人と人とがなりふり構わずぶつかりあう瞬間や,そこに生まれる葛藤。キャラたちの翻弄される“純粋”と“現実”が,見る者を引き込んでくれる。


映画クタ評:★★★★


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