探偵ミタライの事件簿/星籠(せいろ)の海 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:和泉聖治
キャスト:玉木宏/広瀬アリス/石田ひかり
配給:東映
公開:2016年6月
時間:107分




日本の本格ミステリー界を代表する巨匠であり,重鎮的存在でもある島田荘司の代表作『御手洗潔シリーズ』。IQ300以上で語学に堪能な主人公の「御手洗潔」という名前は,作者の少年時代のあだ名が「便所そうじ」だったことに由来するらしい。2013年に発表されたシリーズ最終49作目『星籠の海』が,今夜紹介する作品の原作。監督は『相棒』シリーズの和泉聖治。原作者・島田荘司の地元・福山市の市制施行100周年となる2016年に公開された。

いくつもの難事件を解決してきた脳科学者・御手洗潔(玉木宏)。その活躍は親友で作家の石岡が執筆する推理小説の元ネタとなっていた。ある日,石岡に新作を書いてほしい女性編集者・小川みゆき(広瀬アリス)が,難事件のファイルを手に御手洗のもとへとやって来る。御手洗が興味を示したのは,この半年間に6体もの死体が海岸で発見されたという“死体島”事件。さっそく,みゆきと共に問題の島,瀬戸内海の興居島へと向かった御手洗。彼は複雑な海流を分析し,いずれの死体も広島県福山市の同じ場所から流れ着いたことを突き止める。

現地へと向かった御手洗たちは,その福山で,外国人女性の変死や,滝つぼに目と口をふさがれた男女が拘束されるといった不可解な事件と,相次いで遭遇することに。一見何の関連もない3つの事件は,やがて御手洗の超人的な推理によって,ひとつの大きな事件へとその姿を変えていくのだったが…。

公開に先駆けて地上波で放送されたTVスペシャル『天才探偵ミタライ〜難解事件ファイル「傘を折る女」〜』で石岡を演じた堂本光一は映画版には出演しなかった。代わりに,映画オリジナルのキャラクターとして,ヒロイン・小川みゆきを広瀬アリスが演じている。

“星籠”とは,村上水軍が作り出した秘密兵器で,信長の巨大鉄船を破壊したという。また,瀬戸内海は,珊瑚のタンパク質が光って,青い星屑のように見えることから“小さな星がいっぱい詰まった籠”の意味も込められている。この“星籠”という言葉がすでにロマンとストーリーを描き出す。さらに絡み合う3つの怪事件が,上質のミステリーを奏でる。

ただ惜しいのはキャスティング。玉木宏も広瀬アリスも頑張ってはいるが,何だか薄い。共演者も含め,役の旨味が出し切れていない感じで,“映画”というより“TVの2時間ドラマ”を見ている気分になってしまう。

出演は他に,石田ひかり,小倉久寛,要潤,吉田栄作など。


映画クタ評:★★★☆☆


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