原題：Frozen
監督：クリス・バック／ジェニファー・リー
ｷｬｽﾄ：クリスティン・ベル／イディナ・メンゼル／ジョナサン・グロフ
配給：ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
公開：2014年3月
時間：102分
日本での公開は春先だったが，アメリカでの公開は11月の末。今では世界中で，まさに雪のシーズンのディズニー・スタンダードとなった3Dミュージカル・ファンタジー・アニメを，今さらだけど，やっぱり押さえておきたい。
アンデルセンの『雪の女王』をモチーフに描かれた作品で，本国アメリカではディズニー・アニメ史上最高となる空前の大ヒットを記録。アニメ部門での全世界興収No.１の地位を獲得し，日本国内でも一大ブームを巻き起こした。アカデミー賞では長編アニメーション賞と歌曲賞の２冠に輝く。監督は『サーフズ・アップ』(2007年・コロンビア)のクリス・バックと『シュガー・ラッシュ』(2013年・ディズニー)の脚本家でこの作品の脚本も手がけたジェニファー・リー。また，2015年には『シンデレラ』の同時上映として，スピンオフ短編アニメーション『アナと雪の女王 エルサのサプライズ』が公開された。
アレンデール王国の王女姉妹エルサとアナ。幼い頃は大の仲良しだった２人だが，姉エルサには触れたものを凍らせてしまう魔法の力があった。ある時，その禁断の力がアナを危険にさらしてしまい，責任を感じたエルサは魔法を封印し部屋に閉じこもってしまう。
しかし月日が経ち，国王夫妻が不慮の事故でこの世を去ると，エルサ（イディナ・メンゼル／吹替：松たか子）は王位を継がなければならなくなる。美しく成長した彼女は，新女王として戴冠式に臨むが，力を制御できずに，真夏の王国を冬に変えてしまう。エルサは城から逃亡し，雪山に氷の城を築いて“雪の女王”となり，氷の世界でそれまで抑え込んでいた本来の自分を解放し，ありのままの自分でいられることに生きる喜びを見出だす。一方，アナ（クリスティン・ベル／吹替：神田沙也加）は姉と王国の危機を救うため，山男のクリストフ（ジョナサン・グロフ）とその相棒のトナカイのスヴェン，夏にあこがれる雪だるまのオラフ（ジョシュ・ギャッド／吹替：ピエール瀧）らとともに，雪山の奥へと旅に出るのだった…。
雪の女王となるエルサがオスカー受賞曲『Let It Go』を歌い上げながら築く氷の城は圧巻だし，対照的なエルサとアナというディズニー史上初のダブルヒロインによるデュエットの美しさも，アナとハンス王子（サンティノ・フォンタナ）のデュエットのトキメキ感も，オラフが歌うコミカルなナンバーも，ミュージカルにありがちな無理矢理な挿入感がなく，むしろストーリーに厚みを与えてゆく。
テンポもよく，子供は素直に楽しめる世界。しかし大人目線で見ると，そこに単純な〈善と悪〉の対立ではない〈愛と恐れ〉や〈孤立〉という，現代社会に通じるテーマにまで踏み込んで描かれているのが見え，この深さとユーモアに感心せずにいられなくなる。
ｸﾀ評：★★★★★
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『アナと雪の女王2』(2019年)