陰陽師 | p・rhyth・m~映画を語る~

p・rhyth・m~映画を語る~

メインブログ【くた★むび】



監督:滝田洋二郎
キャスト:野村萬斎/伊藤英明/小泉今日子
配給:東宝
公開:2001年10月
時間:116分




バルセロナの会場全体が歓喜の声で揺らぐのが,画面越しにも伝わってきた。直前のフリーで,鳥肌の立つほど完璧なスケーティングを見せてくれた羽生結弦が,前大会のNHK杯で自ら打ち立てた世界記録を塗りかえる前人未到のトータルスコア「330.43」を生んだ瞬間だった。

2015-16シーズンで彼がフリーに選んだプログラムが,自らタイトル命名した『SEIMEI』。映画『陰陽師』のサウンドトラックでは『メインテーマ』と題されている曲に合わせ,圧倒的な演技で安倍晴明を演じた羽生結弦の更なる進化に期待しつつ,2夜連続で映画『陰陽師』を紹介♪

この世とあの世が曖昧に交差し,魔物たちが人と渾然と存在した平安時代。そんな暗黒の世を鎮め,ふたつの世界の調和を保つ能力をもつ“陰陽師”と呼ばれる男たちがいた。ある日,内裏では陰陽頭・道尊(真田広之)がある儀式を行い〈都の守り人〉の出現を予言する。そして,その守り人は帝(岸部一徳)の子を宿した藤原師輔(矢島健一)の娘・任子(国分佐智子)のお腹の子を指しているかに思われた。だが,娘が既に帝の子をもうけていた右大臣・ 藤原元方(柄本明)はこの事態に自らの将来を案じ,何やら不穏な動きを始める。やがて都のあちこちで魔物たちが蠢き始めたことを感じる晴明。そしてある夜,生まれたばかりの帝の子,敦平親王(高橋拓未)の身に異変が起きる。都の危機を感じた右近衛府中将・源博雅(伊藤英明)は,当代切っての陰陽師・安倍晴明(野村萬斎)に助けを求めるのだった…。

平安の時代に実在した陰陽師・安倍晴明の活躍を描いた夢枕獏の『陰陽師』シリーズの映画化。主人公の安倍晴明を演じるのは,狂言界のスーパースター野村萬斎。最近では『のぼうの城』(2012年・東宝)での主役・成田長親としても印象深い。

クールでふてぶてしくて,雅で鮮やかで,不思議な術を自在に操る安倍晴明のイメージは,この作品で野村萬斎が作り上げたと言っても良いと思う。狂言師だからこそ表現できたその身のこなしは,羽生結弦も直接教授を受け,振り付けに活かしていた。

真田広之の演じる敵役・道尊の変貌してゆく様やその見せ方は見応え十分だし,海猿になる前の伊藤英明の青さは爽やかだし,小泉今日子の青音もSPEED今井絵理子の蜜虫も個性的で可愛いし,ベテラン柄本明は毒気のある右大臣として存在感を示す。VFXも,当時の邦画の水準を考えると,かなり頑張ってる。

しかし何より,見ているうちに野村萬斎と羽生結弦が,安倍晴明を仲立ちとして顔立ちまで重なってくるから不思議。


映画クタ評:★★★★


右矢印福田靖作品まとめ

右矢印柄本明作品まとめ

右矢印石丸謙二郎作品まとめ

右矢印小泉今日子作品まとめ

右矢印矢島健一作品まとめ

右矢印野村萬斎作品まとめ

右矢印真田広之作品まとめ

右矢印伊藤英明作品まとめ

右矢印岸部一徳作品まとめ

右矢印萩原聖人作品まとめ


◆シリーズ一覧◆

陰陽師II』(2003年)