ハリー・ポッターと謎のプリンス | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Harry Potter And The Half-Blood Prince
監督:デヴィッド・イェーツ
キャスト:ダニエル・ラドクリフ/ルパート・グリント/エマ・ワトソン
配給:ワーナー・ブラザーズ映画
公開:2009年7月
時間:153分




タイトルの「謎のプリンス」とは,ハリーが手に入れた古い教科書に書いてあった“The Half Blood Prince(半純血のプリンス)”のこと。魔法界で一番と言っても過言ではないほどの魔法への知識を持った“半純血のプリンス”とは一体何者なのか? がストーリーの核となる。

ヴォルデモート(レイフ・ファインズ)が復活を果たし,ロンドン上空に現れたデスイーターが多くの被害を及ぼし始めた夏休み。ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)の前に突然ダンブルドア(マイケル・ガンボン)が現れた。ダンブルドアがハリーを,かつてホグワーツ魔法魔術学校で魔法薬学を教えていたスラグホーン(ジム・ブロードベント)のもとへと連れて行く。かつてお気に入りの生徒だったトム・リドル=ヴォルデモートの封印された記憶を取り戻すためには,スラグホーンの協力が必要だと考えていたのだ。ハリーを生徒にできるのであれば,とスラグホーンはホグワーツに戻ることを承諾する。一方,ヴォルデモートからある任務を命じられたドラコ(トム・フェルトン)を守るため,ドラコの母・ナルシッサ(ヘレン・マクローリー)は姉のベラトリックス(ヘレナ・ボナム=カーター)とともにスネイプ(アラン・リックマン)の元へ。ベラトリックスは“破れぬ誓い”を立てて,命がけでドラコを守ることをスネイプに約束させた。夏休みをロン(ルパート・グリント)の家でハーマイオニー(エマ・ワトソン)らと一緒に過ごしたハリーは,新学期の準備のために訪れたダイアゴン横丁でドラコを目撃。その不審な行動にドラコが死喰い人に仲間入りしたことを確信し,ホグワーツ特急の中で正体を探ろうとするのだが,勘のいいドラコから返り討ちに遭ってしまう。

そうして始まった新学期。スラグホーンの魔法薬の授業で“半純血のプリンス”の署名入りの古い教科書を手に入れたハリーは,その教科書の書き込みのお陰で優等生に。ロンはといえば,アプローチを重ねるラベンダー・ブラウン(ジェシー・ケイブ)の勢いにのまれて浮かれまくる。そんなロンの姿を見て深く傷つくハーマイオニー。ヴォルデモートの弱点が過去の記憶に隠されていると確信したダンブルドアは,ハリーと一緒に長年収集してきたトム・リドルにまつわる記憶を検証する。スラグホーンのトム・リドルに関する記憶が書き換えられていることに気付いたハリーは,スラグホーンから真実を聞き出そうとするのだが…。

同じ監督なのに『不死鳥の騎士団』とはタッチが違う。原作にはない冒頭の,ロンドンの大災害などは,これまでのシリーズにはない新鮮な光景だし,全編を通してかなり大胆な省略と脚色で,不穏な黄昏の気配に満ちた世界を作り上げている。

しかし,原作では巻を追うごとに対象年齢を上げ,最終話の序章的な位置にあるこの第6作は,ハリーではなく“謎のプリンス”の正体への推測を妙味にして,シリーズ全体に,単純な善悪の闘争ではない奥行きを与えていたはず。映画版では,この辺りまでも省略しすぎているように感じてしまう。


映画クタ評:★★★★


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