新入社員の常識といった類のタイトルの本では、「『どうも』
を使ってはいけない」と書かれていることが多いそうです。
実際に禁止している会社も、あるとか。
理由は、「どうも」が元々は否定形の言葉だったからでしょ
う。「どうもわからない」「どうも怪しい」「どうもうまくいかない」
など、後に必ず否定形が使われたのです。
もっとも「どうも」という表現が生まれたのは江戸時代のこと
ですから、その後変遷はしているのですが。
否定形で使われた理由としては諸説あるのでしょうが、恐ら
く「どうも」の語源が「どうにも」のぼかしから来ているからで
しょう。
「どうにもならない」の、「どうにも」です。ただ「どうにもわから
ない」とか「どうにもうまくいかない」だと、お手上げ状態に聞
こえます。あれこれ手を尽くしたのにダメという意味では一緒
なのですが、「わかりそうでわからない」とか「うまく行きそうな
のにあと一歩届かない」みたいな意味合いの時、「どうにも」
をぼかして「どうも」にしたのだと思われます。
それがやがて、使われ方までぼかしたというか曖昧にして、
否定や打消し以外、たとえば「どうもありがとう」「どうもすみ
ません」といった使い方をするようになったのです。
その辺の歴史を考慮して、「どうも」が禁止になるケースがあ
るのです。とはいえ、実際にどこまで守られているかは別な
のでしょうが。