日本古来、空気を揺るがす「魂振り(たまふり)」の儀式。 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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古代、仏教が伝わる前から存在する習慣なので、神道から来ているもの

でしょう。日本には、空気を揺るがすことによって、神を呼び起こし、魂を

奮い立たせようとする儀式がありました。


空気を揺るがすといっても、巨大扇風機で風を起こすなどといった大袈裟

なものでは、ありません。今でも行なわれている行為。たとえば、神社で柏

手を打ったり、鈴を鳴らしたりといったことです。ささやかな揺るがしで、充分

神様は察してくれるということです。


これを、「魂振り」の儀式と呼びます。この儀式は今、いたって日常的な習慣

として、定着しているのです。


代表的なものとして、出かける人を見送る時に「行ってらっしゃい」と手を振っ

て見送る行為です。子供が学校に行く際にもそうしますし、長旅に出る人を

見送る時にも、手を振ります。


これは、手や着物の袖を振ることで、神を招き、そのお加護のもとに安全に

旅ができるようにとの祈りから始まっています。


この「行ってらっしゃい」と手を振る行為は、私のイメージでは、日本に限らず

世界的にやっている気がするのですが、どうなのでしょう。ただ、日本の場合

にはそれにひときわ伝統的な意味があり、そのため、丁寧な動作になってい

るというのは、あるのだと思います。


万葉の時代になると、この「魂振り」の儀式は、恋のまじないにも発展してい

きました。「わが君にむけて、袖を振る」という表現が、万葉歌にはしばしば

見られます。今でも、異性に好意の意思を示すことを、「袖を振る」と言ったり

しますね。


ところで、話は変わりますが、2020年のオリンピック、東京に決まりましたね。

マドリッドが、意外と弱かった。汚染水問題が懸念されましたが、実は日本が

思った以上に世界の信頼を集めていたのですね。


それと、震災の時の日本人の毅然とした態度やマナー、今年も線路に落ちか

け、電車とホームに挟まれそうになった女性を大勢の人が協力して助けた

写真や映像が世界で流され、称賛されるなど、その国民性が近年富みに評価

されていることも、私は大きいと思います。