【大御所による】 Johnny Cash / Hurt 【NINの名カバーと名ビデオ】 | +のブログ☆癒しの雑音日記

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こんにちは



2002年にnine inch nails の「Hurt」(1994年)をカントリー(ロック)の大御所ジョニー・キャシュがカバーしました(リンク先のwikiにも記述があります。最近ではレオナ・ルイスもカバー。)


非常に素晴らしいカバーであり、ビデオ作品としても秀逸な出来ですね


nine inch nailsのトレント・レズナーより30歳以上も年上のキャッシュは確か「優れた反薬物ソング」として取り上げていたと記憶しています


トレント・レズナーが当時のスランプからの脱出の契機になったとされている曲でもあります


リック・ルービンのプロデュースで「American IV: The Man Comes Around」に収録
CD



本プロモビデオはマーク・ロマネクによって撮影され数々の賞を受賞しました



このビデオをブログで取り上げている方も沢山いらっしゃいますね
(歌詞はそちらを参照してください)



このビデオ撮影の翌年・・・残念ながら



ビデオにも出演している奥さんのジューンが亡くなり(73歳)、その2ヶ月後キャッシュ自身も妻の後を追うように亡くなっています(71歳)



また、撮影で使用したキャッシュの自宅は2007年に全焼しています





Johnny Cash / Hurt
 





以下は「DIRECTORS LABEL マーク・ロマネック BEST SELECTION」というDVDからのコメンタリー部をそのまま載せました


DVD





Rick Rubin(音楽プロデューサー)
rick

彼(マーク)はジョニーのビデオを作りたがっていたが-
ずっと実現しなかった
ニュー・アルバムを聴いて-
彼は「絶対ビデオを作る」と言った
ジョニーは自宅でビデオを作るならOKと言ってくれた
マークは「何とかする」と
マークは―
「彼をイスに座らせて歌ってもらう」と言った
「それだけでビデオがもつか分からないけど」って
心に重くのしかかってきたんだ
美しいと思った でも・・・
あんなビデオは観たことがなかった
本当に息をのんだよ
説明のしようもないがとにかく圧倒された
4分間のビデオで―
あれほど観るものを感動させるなんてすごい
あれほどの感動は・・・
2時間の映画でもそう得られない

 

 


Mark Romanek(ビデオ監督)
MARK

リック・ルービンにずっと言い続けていた
「ジョニー・キャッシュのビデオを撮りたい」って
アルバム「The Man Comes Around」の中の曲を聴いた
そしてリックを脅したんだ
「絶対あの曲のビデオを作る」と
そしてやっと実現することになった
リックは「今すぐナッシュビルに行け」と
キャッシュの自宅へ行くように言われた
「行ってから考えろ」って
いつもならコンセプトを練ってから撮影に入るのに
でも相手はジョニーだったから飛んで行った
水曜の夜に夜行便に乗って木曜の朝に到着
そしてジョニーの自宅で彼に会った
家の中を見てどこで何を撮るか考えた
ピアノに向かう彼を撮ろうと思った
キャッシュ記念館は非常に荒れた状態だった
傷みが激しくずっと閉鎖されていたんだ
それ自体 悲しいことだ
キャッシュ記念館に映像の保管室があった
大量のフィルムにビデオテープ
彼のすべての映像があった
ダンボール4箱分の素材を持ち出すことができた
撮影はジャン=イヴ・エスコフィエ
彼は この撮影の数ヶ月後に亡くなった
ジョニーのシワは美しかった
だから ごまかさずに-
照明を横から当てて
シワが全部見えるようにした
彼は勇敢にも こう言った
「ありのままを見せていい」
彼はずっとそういう姿勢で生きてきたんだ
この作品は間違いなく僕の代表作だ
テイクを見たスタッフが涙ぐんでいた
最初のテイクはジョニーがギターを弾いている場面
彼の妻 ジューンが見に来た
ジューンの方を見ると彼女は-
なんとも言えない深みのある表情をしていた
彼女にも出てもらいたいと思った
これも予定にはなかった
彼女は 撮影の時も同じ表情を見せてくれた
ヘビーな曲だからジョニーも重い感じで歌っていた
そのせいか具合が悪いように見えた
実際悪かったんだ
でも撮影の合間の彼はすごく愉快で-
じきに亡くなるようには見えなかった
だから ジョニーの死を予感してたわけじゃない
そんなこと分かるわけがない
死ぬべき運命についての歌だからそうゆう映像にしたんだ
このビデオの成功は僕のおかげじゃない
ジョニーという天才と この曲を彼に歌わせたリックのおかげだ
リックがこの曲を選んだんだ
「すばらしい仕事だ」と言われるけど-
僕が果たした役割は微々たるものだったんだ





Trent Reznor (nine inch nails)
TR

リック・ルービンから この曲を-
ジョニー・キャッシュがカバーしたがってると言われた
彼のような偉大なソングライターが-
僕の曲に注目してくれたなんて すごくうれしかったよ
もちろん快諾した
だが本当に企画が実現すると分かるまでは
あまり考えすぎるのはやめようと思っていた
それから数週間後CDが届いた
セッションの途中だったが中断して-
送られてきたCDを聴いた
自分の曲のはずなのになんだか奇妙な感じがした
まったく知らない曲のように思えたんだ
それは僕が どん底にいた時
寝室で書いた曲だった
それをジョニー・キャッシュが歌っている
何だか不思議な違和感があった
結局一度しか聴かなかったが1週間ほどして-
ビデオが届いた
また仲間とセッション中だったが-
早速 そのビデオを観てみることにした
監督はマークだと知っていた
僕はビデオを観て衝撃を受けた
それはもはや僕の曲ではなかった
涙がにじみ出るような感動に皆 静まり返り-
最後には感嘆の声が上がった
巻き戻して もう一度観たよ
僕の客観的な見地からだがすばらしい作品だった
思わず背筋に鳥肌が立つのを感じたんだ
そこには信じられないほどの力強さがあった
監督とミュージシャンの気迫と気品とが
作品から にじみ出ていた
味気ないものには決してしないと誓い
人の心に訴えるものを作り上げたんだ
実に美しい芸術作品だ
ジョニー・キャッシュが亡くなった時-
とても悲しかったが同時に誇りに思った
彼の人生の幕切れを
味わい深い作品で飾ることができたからだ
若い世代も 彼の音楽に目を向けるようになった
彼の記憶を留めるのにふさわしい作品だ
これが最後になったのは残念だが-
現代の感覚を持つ僕らの世代がこうして関わり
彼の偉大さを改めて世に示せたのは すばらしい
まさか僕の曲をあのジョニー・キャッシュが-
歌うことになるなんて思ってもいなかった
それも これほど重要な形で
音楽がどれだけ人の心に訴える力をもつか
改めて気づかされた体験だった
僕が極めて個人的な思いを吐き出すために書いた曲を-
誰かが解釈して皆に分かる形で伝えてくれた
ジョニー・キャッシュならそれができるとリックは信じて-
彼にあの曲を託した
そしてマークが加わりすばらしい作品が生まれたんだ




以下は他のミュージシャンからのコメント

Anthony Kiedis(Red Hot Chili Peppers)
ビデオを観て涙が出た
すごすぎる

Bono(U2)
俺にとって衝撃だったのは―
ジョニーが
虚栄心をかなぐり捨てていたことだった
トレントが書いてジョニーが歌う運命にあった曲だ
そしてマークがビデオを作る運命に

Joni Mitchell
悲しいけど美しかった
複雑な気持ちよ
もう一度観るべきだけど
観たくないわ

Michael Stipe(R.E.M.)
あんなパワフルなビデオを作れるなんて
驚異的なことだ
語りつくせないパワーがある
大きな衝撃を受けた



cash





コメンタリーはマークのこの言葉で締めくくられています

Mark Romanek
ビデオは感動させるためのものじゃない
感動させようなんて思ってないよ
感動させるために作るんじゃない
楽しんでもらうために作る
ミュージックビデオで人を感動させようなんて―
そんな意図は全然なかったんだ
結果的にそうなったけどね






長文失礼いたしました






僕もこのビデオには「感動」というよりは「圧倒させられる何かのパワー」を感じます


キャッシュがワインをこぼすシーンと奥さんの表情は一生忘れらません


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