レッツ・ハロウィン!
ハロウィンの夜、僕は彼女を自分の部屋に招き、ハロウィンの夜を楽しむ事にした。
テーブルの上には彼女の手料理が並べられている。
そして、御互いワインのグラスを手に取り、乾杯をしたその直後、呼び鈴が鳴った。
僕は玄関に向かい、ドアを開ける。
その瞬間、威勢の良い声が響いた!
「レッツ・ハローワークッ!」
「職安かっ!」
ドアを開けて入ってきたのはお化けカボチャを被った……まではいいんだが、白いマントに黒いビキニパンツとブーツを履いた上半身裸のマッチョマン……と、言うよりカボチャの覆面を被ったプロレスラーにしか見えない男だった。
彼女との一時を邪魔された僕は苛立ち気味にこう聞いた。
「で、あんた誰だ? つ~か、何しに来た?」
「早速だが、トリックオアトゥイートッ!!」
つまり、『お菓子くれなきゃ、悪戯するぞ』と言う、ハロウィン御決まりの台詞だ。
「……って、それは子供の台詞であって、良い年こいた大人の言う台詞じゃないだろ」
「いいや、どう見たって俺は子供だろ!」
「何処がだ! 歳を言ってみろっ!」
「精神年齢10歳だ!」
「帰れ」
そう言うと僕はドアを閉め、鍵を掛ける。
テーブルに戻り、乾杯の続きをしようとしたその直後である!
轟音と共に、先ほどのハロウィン男が部屋の壁を突き破り部屋に乱入した!
「もう一度言う! トリックオアトゥイート!!」
「あんた何やってんだァ!?」
「お菓子をくれないから、悪戯しただけだ!」
「いや、それどう考えても、悪戯越えて不法侵入だろ!」
唖然とする僕と彼女を他所に、ハロウィン男は部屋の片隅に腰を下ろした。
「さぁ、俺のことは気にせず続けてくれたまえっ!」
「って、お前が何で居座るんだ?」
そんな中、突如彼女が立ち上がり荷物を取る。
「…あの、ごめんなさい。私帰るね」
「あ・・・…ちょっと……」
僕は彼女を引きとめようとしたが、彼女は早足で帰ってしまった。
折角のハロウィンを邪魔され、僕はハロウィン男を睨む。
「お前のせいで、彼女帰ってしまったじゃないか!」
「ふっ、お前がお菓子をくれないからだ!」
「どんだけ陰湿な悪戯なんだお前!」
怒鳴る僕に、男は手を差し出しこう言った。
「じゃ、お菓子を貰おうかッ!」
「って、勝手に人のうちの飯を食うなっ!」
ハロウィンの夜は、カボチャ頭のプロレスラーに気をつけろ!
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いや、実は書き上げた時点で、ハロウィン終わってるんですけどね(爆)