マッチ売りの少女 ~若端式~
大晦日のある夜、街では一人の少女が生活の為にマッチを売っていました。
ですが、誰も見向きもしません。
そして、夜も深くなり、雪も降り出してきました。
マッチが売れないまま帰ったのでは、怖い父親にぶたれてしまいます。
ですが、あまりの寒さと空腹にマッチ売りの少女は道端に座り込んでしまいました。
その時、一人の男が現れ、少女にこう言いました。
「そのマッチをくれ!」
男は金貨1枚を少女に投げ、マッチを一つ奪うように持ち出してしまいました。
男が笑います。
「ふふふふふ、仕事を首にされた恨みだ! この街を焼き尽くしてやるぜーぇー!」
男の目には狂気が溢れていました!
少女はあまりの恐怖に、動く事も出来ません。
男がマッチを擦ります!
次の瞬間、マッチの炎になにやら浮かび上がってきました!
そこに現れたのは一人の老婆です。
「お……おばあちゃん!」
男は思わず叫びました。
そう、昔から彼に優しくしてくれた天国のおばあちゃん……
見ると、彼に向かってお婆ちゃんが手招きをしているではありませんか!
「おばあちゃん!」
男は急に子供のように老婆に抱きつき、そのままあっちの世界へと消えていきました。
「……あー、あっちの世界にいくの、あんたかいっ!」
悲劇のヒロインになり損ねたマッチ売りの少女は、仕方なく貰った金貨でワンカップを買い、それを飲みながら家路につく事にしました。勿論、酔った勢いでバカ親父を張り倒す為に、ね。
おしまい
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彦さんの『マッチ売りの少女』 に触発されてこんなの即興で書いてみました。
現在、八雲log06執筆中です。もしかしたら今週末にアップできるかもです。