うな丼に見る格差社会 (おまけ) | 若端創作文章工房

うな丼に見る格差社会 (おまけ)

 木戸 達也(きど たつや)、17歳。全てを空手で解決する空手バカである。
 彼は店先の屋台の前に立ち、こう言った。
「この店で一番凄いうな丼をくれッ!」
 屋台で鰻を焼いていた店主兼総料理長の宮城 一徹は笑いながらこう返す。
「よかろうっ! この『闘魂うな丼』、食えるものなら食ってみろっ!」
 宮城がうな丼の蓋を開けると、匂いが人型になり木戸に襲い掛かる!
 構える木戸!
 宮城が叫ぶ!
「あの落語通りには行かぬわっ! 匂いの代金はきっちり払ってもらうぞっ! 痛みでだがな!」
「おお! 落語通り、音で払ってやる! この唸る拳の音でなぁっ!」
 ぶつかり合う拳と拳!

 …この男達に格差社会など、全く関係が無かった。と、言うより、勝手にやってろ。