日本はさほど学歴社会ではない。
こうかくと反論を買うかもしれないが、実はアメリカ以外の外国は
日本以上に学歴社会らしい(厳密に言うとアメリカも十分学歴社会である)。
台湾に日本語を教えに行っている友人が語った。
「台湾は日本以上に学歴社会なので、短大卒では教師にはなれない。」
台湾で教えるために短大卒だった彼女は通信制の大学で大卒の資格を取った。

短大。非常に微妙な教育機関である。
最近次々4年制化しているが、それはそうだろう。

だいぶ昔の話になるが、私たちの頃は短大に進学する女子も多かった。
少し上はもっとそうで、「短大の方が就職が良いから」と勧められて短大にしたそうである。
そして、その後、男女雇用機会均等法が制定されて以降、
短大卒で入社した女性の先輩はこういうのだった。
「短大卒は差別されている」。

私から見たらこの「短大の方が就職が良い」というのは明らかに
「結婚するまでの数年間だけの腰掛として採用する枠で採用される」という意味で、
長く働いてもらうために枠ではないことは明らかだ。
確かに当時はそれ以外の枠が無かったので何が何でも採用されるには
そちらの方が有利に見えたのかも知れない。
しかし、学歴社会を作った張本人の男性同士こそ学歴好きなので、
その中で対等に扱ってもらおうとしたら
むしろ男性より少し高い位の学歴が無いと不利になるのは明白である。
金銭的な事情がある場合を除いては、四年生に進学しなかったあなたが悪いのだと
つい言いたくなってしまう。しかし、「あなたが悪い」とは確かに言い過ぎ。
だって受験する時点ではまだまだ皆子供でそんなことわからなかったのだから。

私は四年生大学卒である。
大変幸いなことに私の家では両親の両家とも
「短大は良家の女子が花嫁学校としていくお嬢様学校」という考えが定着しており、
良家でない我が家は女子でも「短大に行くという選択が眼中に無い」環境で育った。

短大に「短大の方が就職が良い」と言われて進学した人は、
こういう環境が無かったということになろう。
ご両親も、学校の先生も短大を薦めるような環境にあったとは、
不幸だったとしか言いようが無い。
今考えると、高校の先生が「短大の方が就職が良い」と進路指導をしていたなんて
「職場の花になり早々に寿退職しなさい」と教えていたようなものでぞっとする。先生は世間知らずと言われるが正にそんな感じ。

学歴に関係なく社会で活躍している人は沢山いる。
活躍できた特に優秀な人は、短大卒でももちろん沢山いるだろうから
そういう人たちは「学歴は関係ない」と言うだろう。
それはそうです。大学はそもそも職業訓練校ではないので、
社会で活躍する術を教えているわけではないので社会で活躍したり
お金を稼いだりする点では学歴ばかりが重要では一切無い。
しかし、サラリーマン社会では、短大卒で差別された、
あるいは現在もされているという話は複数の人から聞いているので、
やはり学歴は関係あるというのも一方で事実である。

四年制大学は教育機関という側面と研究機関という側面を持っているが、
短大は教育機関という側面しか持っていない場合が多い。
今後文科省は短大をどういう扱いにする気なのかビジョンを聞いてみたいものだ。