腑抜けども、悲しみの愛を見せろ | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

82点
女優を目指し上京した女性が挫折、両親の事故死をきっかけに田舎の実家へ戻る話。
兄夫婦と姉妹の4人生活。姉は妹を虐待し、兄は嫁に当り散らす。その軽い暴力描写の積み重ねで家族の関係を表現している構成。ただ残念ながら演出が甘く、刺激的な展開は不快な印象が強い。ストーリーにも唐突さを感じさせる部分が多く見てて首をかしげるシーンもある。伏線もそれほど生きておらず、欠点は目立つ。どうせやるならもっと激しい暴力を前面に出し、後半で兄嫁や妹に反撃させてもよかった。ひっぱったわりにラストもいまひとつ。
ただし本作を大がかりなブラックユーモアとして解釈するなら、なるほどその独特な個性は魅力的。人を食ったようなタイトルの面白味も伝わってくる。永作博美の見事ないじめられっぷりは一見の価値あり。

監督:吉田大八
出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、永作博美、永瀬正敏
2007年  112分

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