NO5766 12月1日
『サウジアラビアとイエメンは問題解決に向かうのか』
[2019年11月30日(Sat)]
サウジアラビアとアラブ首長国連邦(アブダビ)の皇太子が、イエメン戦争を終わらせる方向で、話し合いを行った。それは、第一にサウジアラビアの資金が、不足してきているからであろう。同時に、やはり戦死者が増えていることが、社会不安に繋がるという、不安もあろう。 いずれの理由であれ、戦争が終わる方向に、動いているのはいいことだ。つい最近も、サウジアラビアがイエメンの、ホウシ・グループの戦闘員を、128人飛行機でイエメンに帰国させた、というニュースがあったが、これは和平交渉に向かう、一歩手前の動きであろうと思われる。 ホウシ・グループはいま、イエメンのなかで、唯一サウジアラビアとの戦闘を、展開しているグループであり、これまでに、サウジアラビアの主要パイプ・ラインを攻撃したり、リヤド近くの製油所を、ドローンなどで攻撃し、サウジアラビア側に大きな被害を、与えているのだ。 サウジアラビアはイエメンの政府と、反政府グループとの間の、妥協の仲介もしており、これらのグループとサウジアラビアとの、和平の話が進んでいる。従って、今度のホウシ・グループとの話が進めば、サウジアラビアとイエメンは本格的な、和平に向かうかもしれない。 イエメンに対する、サウジアラビアの軍事攻撃は、悲惨なものだった。何十万人もの死傷者が出ているし、家を追われた者の数は、数百万人ではきくまい。しかも、食糧不足から、イエメンの女子供たちは、多数が餓死し、いまでも餓死は続いているのだ。 それは国際援助の食料が、イエメンの情勢不安のため、被災民たちの手に届かないからだ。その理由はイエメンの主要港、例えばホデイダ港などは、戦略的な要衝になっており、ホウシ・グループと他のグループが奪い合いをし、激しい戦闘が続けられていたからだ。 それでもやはり、国際的な非難と、国内的非難から逃れるために、時折港を援助船のために開いている。それでも被災民の食糧事情は、なかなかよくならないだろう。これからは、イエメンも冬に向かい寒くなり、身体の弱っている人達は、死んでいくことになるのではないのか。 戦争は人間の業のなせる技とは言え、あまりにも酷い話ではないか。 |