孫崎 享さんの記事です:
Date: Tue, 18 Jul 2017 07:24:27 +0900
Subject: 北朝鮮にどう対応すべきか。米国学者の一見解「我々は何故北朝鮮を承認しなければならないか」、著者ウォルドロンは ペンシルベニア大学教授、だが、米国は北朝鮮の脅威の存在こそ、日本、韓国を自己に引き付ける好材料とみなしている
アーサー・ウォルドロンは ペンシルベニア大学教授、1971年にハーバード大学を最優秀で卒業、ハーバード、プリンストン、ブラウン、米国海軍大学の各教員を歴任。元AEIアジア部長。ワシントンD.C.近郊のシンクタンク、米国国際評価戦略センター(IASC)副所長。
A:事実関係
アーサー・ウォルドロン著「Why We Must Recognize North Korea(我々は何故北朝鮮を承認しなければならないか)」
・北朝鮮に関する交渉が何故成果をあげれないかの理由は簡単だ。公然と宣言された交渉の目標は達成出来ないものだからである。北朝鮮の核兵器を排除しようとするのに有効な政治的、軍事的手段がないことを受け入れる時期にきている。
・このアプローチは核兵器を持つ国家として外交的に北朝鮮を承認することである。ワシントンと平壌は互いに大使館を設置し大使を交換すべきだ。これは今日可能な最善の代替案である。これでアジアに平和がくるというわけではないが、皆が合意するが現実性のない策ではなく、現実性のある部分的前進を示す。
・2017年6月21日ティラーソン米国務長官は米国と中国とは朝鮮半島の完全な不可逆的な非核化で合意した。二週間後、トランプとプーチンは同じく、朝鮮半島の完全な不可逆的な非核化で合意したと報じられた。韓国はこうした考えに合意している。しかし、どのようにしてこうした解決が達成できるか。如何なる国も保有する核兵器をあきらめようとはしない。
保持の核兵器を断念すれば国は攻撃されやすくなる。
北朝鮮の核兵器は49-100であろう。
ロシアは7000、
中国は1000、
インドは130、
パキスタンは100、
イスラエルが80、
仏が300、
英が215、
米国は6600である。
・互いに大使館を設置し大使を交換すれば初めて確実な意思疎通の手段を持つこととなる。
確かにこれで何も成就できないかもしれない。しかし、米国とその同盟国との結びつきが明確になれば、平壌は、これらの国がロシア、中国との不安定な同盟よりも、西側がより多くを提供できることを理解するだろう。
・この外交関係では. No quid pro quo(「見返り」を要求しない)の原則が適用されるべきである。
・北朝鮮が開発を続けるなら、アジアの同盟国の軍備とミサイル防衛を増強すればいい。
・私の感触では、北朝鮮が韓国の平和攻勢に応じなければ、韓国は核開発をすると思う。それは日本についてもいえる事だ。.
B:評価
・先ず米国にとって北朝鮮のミサイルや核兵器開発が米国の安全に真に脅威になるとの認識はない。
・この中、北朝鮮の脅威を存続させることが、米国の東アジア政策、特に対日、対韓国に利益になる。
特に韓国は経済的に中国との関係を強化する可能性が高い。この中、北朝鮮の脅威の存在は米国にとりプラスである。
・したがって、論理的にアーサー・ウォルドロンの説は正しい面を持つが、米国政府はこれを求めない。
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