循環器内科医の健康広場

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医食同源。食と、医療、健康、ダイエット、、、に関することが主なテーマです。

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おはようございます。布施淳です。

久しぶりの更新になります。12月後半からのこの約1か月半はなかなか忙しかったです。通常の日常業務に加えて、自分のキャパ的には盛り沢山の日々。統計学勉強会2日間、JMECC(日本内科学会救急対応講習会)1日間x2回、ACLS(日本循環器学会二次救急対応講習会)2日間x2回、BLS(日本循環器学会一次救急対応講習会)1日間x2回、AMLS(北米救命士協会救急初期対応講習会)2日間x1回、PALSインストラクターコース受講(小児二次救急講習会)1日間x1、ACLS-EP(ACLSの上級コース)1日間x1、ナースプラクティショナー養成の大学院の授業(新規テーマの授業90分x3)。年末は台湾旅行。加えて、常識不足の自分に社会勉強として課したFP(フィナンシャルプランナー)試験受験、、、、。指導側の立場、学習者側の立場、どちらもそれぞれに大変ですが、自分の専門カテゴリーでない部分への取り組みもあり、アウェイ感を感じること多々。ようやく一山超えました。歳のせいか、疲れが抜けるのに時間がかかります笑。でも、また2月から戦い笑が始まります!


まあ、そんな中、野球界のスーパースター清原和博の覚醒剤事件が報道されました。自分も甲子園のKKコンビを目の当たりにしていた世代ですので、インパクトは大きいです。話題性抜群ですから、各メディアは連日取り上げまくり。スポーツ新聞も連日一面トップです。自分はあまりテレビは観ないのですが、目覚ましテレビの紙兎ロペはよく見ます。その朝のテレビ番組でも頻回に取り上げています。


一生を捧げていた「野球」を現役引退し、感じる喪失感。仕事がうまくいかないようですと、尚更ストレスが増幅され、心の隙ができるのでしょう。覚醒剤使用で多い年代は40代、50代だそうです。そのようなストレスを感じ易いタイミングの世代です。そして特に清原のような一流野球選手は、お金はありますから、甘い誘惑の手が容易にそして巧妙に近づいてくることが当然あるのでしょう。何度も取り上げている「依存症ビジネス」の最たるものが麻薬です。昨年11月にも野球賭博事件の際、取り上げました。関連記事は以下。


「依存症」という観点で周りを見渡してみよう

http://junfuse.com/141229/


テレビで目にする友人・知人らのインタビュー。「残念」というコメントが主流ですが、中には「何やってんだ、、、、」「バカ野郎」といった怒りのコメントもあります。業界の、そして子供達の手本にならなければいけない存在にもかかわらず「犯罪」を犯してしまうことは最悪なことですし、何を言われても言い訳はできません。


薬物依存へ陥るきっかけは、様々なストレスによって生じる「心の隙」です。人は弱いです。そして様々な甘い誘惑や巧妙な罠に、容易に陥ります。清原のように世界を極めたプロフェッショナル、そしてその後の立ち位置とのギャップ。同じような立場に立たされて、甘い誘惑や巧妙な罠に陥らないと自信を持って言える強靭な精神力の人はどのくらいいるでしょうか。


清原の肩を持つわけではありません。清原は悪いです。厳罰に値します。でも、他人事ではないです。レベルは違えど、誰もが同じように心の隙が生じることがあります。凡人には、甘い誘惑や巧妙な罠の仕掛けは近づいて来づらいです。金がありませんから笑。金がないところに悪い人は興味を抱きません笑。誰が、清原を心底非難できるでしょうか。人は、誰でも弱いです。薬物を排除できない社会のシステムエラーという切り口もあるでしょう。


そして、誰もが生じるであろう「心の隙」を埋めるのは、「人」です。友人であり、知人であり、家族であり。清原に対して、友人として怒りのコメントをする気持ちもわかります。でも怒りと共に、「自分がなぜ清原の「心の隙」を埋めてあげることができなかったのか?」という、友として自責の念を抱いてもらいたいのです。KKコンビの桑田真澄はそのようなコメントを出していました。

「一切関係を持たないでほしいと言われ、連絡を絶った云々、、、、、、小姑のように言っていたのが小言に聞こえ嫌気がさしてのでしょう。もう少し僕が言い続けていたらよかったのかなという思いはある」

多くの人がコメントとして報じられてはいないにせよ、心の中では桑田のような思いを持っているのかもしれません。



このような悲しい事件を繰り返さないために、薬物根絶の社会システムを構築していく必要があります。でもこれは簡単にできることではありません。一般市民がとりあえずできることは、互いの「心の隙」を埋めてあげることです。自分としても、周囲に「心の隙」を生じている人はいないか。改めて、そのような視点で人を観察したり、接してみたいと思います。それを埋めてあげるようなことができれば良いですね。まあ、自分も「心の隙」あるけど苦笑。40代だし。


あなたの周囲はどうでしょうか。



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「依存症」社会 (祥伝社新書330)/祥伝社
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こんにちは。布施淳です。


以前このブログでも触れた、「健康第一」というパラダイムをバッサリ切った衝撃的な本。これ、オススメです。


「健康第一」は間違っている (筑摩選書)/筑摩書房
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そして、下記は、今回読んだ本「医者の言うことは話半分でいい」。この本も、「「健康第一」は間違っている」に通じるものがある良書です。患者目線で、よりソフトに、プラクティカルな仕上がりになっています。著者の尾藤先生は個人的にもよく存じ上げている医師です。上記本の著者名郷医師は信頼できる医師ですが、下記本の尾藤医師も本当に信頼できる医師です。いずれの本も、近頃ありがちな、何ちゃって医療本では決してありません。


医者の言うことは話半分でいい/PHP研究所
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医師という専門家の偏った視点、「医療はこうあるべきだ!」という各専門家のイチゼロの主張に注意喚起し、医師と患者の考え方の乖離を指摘し、医師との付き合いかたを指南してくれています。不安ビジネスとしての医療、代替医療、氾濫する健康情報に対する考え方、そして、超高齢化社会による医療の目的の多様化など医療の様々な問題点を易しく解説してくれています。


患者が、医師と面談するということは医療についての説明を聞くだけの場ではありません。医学的に正しいことを説明してもらった上で、対話を重ね、自分にとって最善のことを模索していく場、なのです。もちろん医師は「医学的に正しい(と思われること)」を説明する必要がありますが、患者の最終的な選択肢が「健康第一」であるとは限らないのです。患者は真剣に自分のことを考え、自分の価値観を大事にし、「自分らしく、楽しく生きれ」ば良いのです。患者は自分の生き方にリーダーシップを持って真剣に考える必要がありますし、医師は「健康第一」というパラダイムに引きずられ過ぎることなく、様々な患者の価値観を尊重する柔軟さが必要です。これ、自分が日々の業務で心がけていること、そのものです。


著者の尾藤先生は多様な価値観を認めています。患者の様々な価値観、健康への価値観、代替医療への価値観、、、、。普遍的な正解などなく、個人個人にとってその正解は違うのです。尾藤先生は「自分らしく、楽しく生きる」が正解と言います。ご近所さんでもある笑、尾藤先生ご自身が「自分らしく、楽しく生きる」人生をまさに実践しており(ように見える笑)、大変説得力があると感じました。この本、患者が医師との付き合いで大いに学ぶべきことがあるわけですが、医師が患者と付き合う上でも学ぶべきことが多いにあります。


僭越ですが、自分と考えと共通点が多く、それを巧く言語化してもらった感じがあり、そうそう、とうなづきながら楽しく読めました。本の中でも触れていますが、医療現場には偏った考え方の医師、もっと砕けた言い方をすれば、頭カチカチの医師が少なくなく、この本を読んでもらいたい人が自分の周りにも結構いるなーと思いました。まあ、自分も頭が硬くなる年頃ですので気をつけなければいけませんが笑。患者はもちろん、頭が硬い医師も笑、そうでない医師も、医療との関わり合い方を再考すべくご一読をお勧め致します。



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こんにちは。布施淳です。

とある会議で、とある方が、自分の価値観にそぐわない他人の意見・判断を、全否定する場面に遭遇しました。どちらの価値観や意見が正しいとか、正しくないとか、というよりも、場に流れる空気が少々悪くなったような気がして、こちらの気分もブルーになりました。世の中には多様な考え方とか、価値観があるわけですから、自分と異なる考え方があって当たり前です。もう少しソフトな対応で、受け入れてあげれば良いのになー、なんて思ったり。

でも、考えてみれば、自分だって知らず知らずのうちに自分の価値観を他人に押し付けている場面はあるだろう、、とハッとしたり。


最近、知人との話題にちょっと出たので読んでみた本。


類人猿分類公式マニュアル2.0 人間関係に必要な知恵はすべて類人猿に学んだ/夜間飛行
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類人猿分類とは、人間のタイプをオランウータン、チンパンジー、ゴリラ、ボノボの4つのタイプに分ける性格分類であり、様々な人間関係に活用できる、としています。

ざっくり言うと、オランウータンが一匹狼タイプ、ゴリラは安心安全第一でルールを遵守するタイプ、チンパンジーは社交的でエネルギッシュタイプ、ボノボは感情的で共感を求めるタイプ、といった感じ。


この本では、自分の意見は他のタイプの人(3タイプ、即ち3/4)の意見とは異なっている、即ち、自分の意見というのは常に1/4の少数派である、と主張しています。「自分にとって当たり前の意見」も少数派なのです。この言葉は大変インパクトがありました。


類人猿分類自体は、強いオリジナリティーは感じず、例えば、血液型分類にちょっと類似してるかな、なんて思います。オランウータンがBっぽい、ゴリラがAっぽい、ボノボがOっぽい、とか。性格分類をちょっとフレームワークの表現をインパクトのある”類人猿”に変えることで、人目を惹く、、、、笑。釣られて、本、買っちゃったし笑。


人間関係に生かすなら、ストレングスファインダーの方が良いのでは?(参考: http://junfuse.com/151021/ )とも思いますが、4つのタイプというシンプルさが良いのかもしれません。ストレングスファインダーは34もの要素があるから。。。まあ、なんにせよ、先の「自分にとって当たり前の意見も少数派」という表現は、目からウロコでした。他の意見を全否定する場面を目の当たりにして、真っ先にこの言葉が思い浮かびました。


人には多様な価値観があるとは思っていても、自分の考えが当然当たり前、標準的、多くの人が自分と同様の意見だろ、、、、と、ついつい誰もが、そのように考えてしまうことはあると思います。

オランウータン、チンパンジー、ゴリラ、ボノボを思い出して、自分は少数派という意識を常に頭に入れて、自分と異なる他の考えも尊重し受け入れる余裕を持つことを心がけます。

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人は、「競争」すること、「比較」されることで成長しやすくなります。

「ライバル」の存在が、成長を後押ししてくれます。


その意味では、「競争」や「比較」は、良い面もあります。

でも、そんな「競争」や「比較」が、自分たちを辛くしていることも、確かです。



反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」/KADOKAWA/中経出版
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この本の、「比較」とか「競争」とかに関する記述が印象に残りました。


「比較する」目的は何でしょう?


この本では、


「承認欲を満たして安心したい」から、

自分が、他よりも優位であるということを確認し、安心したいから、


と主張しています。


「承認欲」は、いわゆるマズローの五段階欲求にも含まれています。

自分も「承認欲」は強い方だと思いますので、腹落ちした感じがします。


1  生理的欲求
2  安全の欲求
3  愛と所属の欲求
4  承認の欲求
5  自己実現の欲求



上記本によると、「比較」とは不合理な思考だそうです。そのような心の動きは実在せず、バーチャルな妄想でしかない。いくら比較しても、自分は変わらない。比較して安心するためには、絶対的優位性を常に維持し続けなければならない、、、でもこれは不可能。常に不安、不満が解消しない。


偏差値を上げて、受験戦争に勝っても、それがゴールではありません。まだまだ先があります。

高校野球の甲子園大会で優勝しても、その先があります。次の大会もあるし、プロへの道でもまた勝負です。

うちの子供は、隣の家の子供より、良い子。。。。だから、何?


業績、収入、マイホーム、ブランド、容姿、、、、、、なんでも、そうです。「比較」や「競争」には終わりがありません。永遠です。そして、そのたびに、一喜一憂。。。。その「妄想」に歯止めがかからない、悲しい性。。。苦笑


その妄想の根源、即ち、承認欲や、コンプレックス、を狙った商売は花盛りです。まあ、様々な欲求を満たすことがビジネスの基本ですから、当たり前といえば当たり前です。

食欲を満たすために飲食業界があり、普遍のニーズです。

性欲を満たすために、風俗業界があります。これも時代を超えて存在し続けています。

塾や予備校といった受験ビジネス、また、学校、会社、病院、環境、、、、あらゆるもののランキング。「競争」や「比較」を煽り、人々の「承認欲」を刺激し、大きなビジネスとなっています


「競争」や「比較」は、経済を活性化させるとともに、人々を疲弊させます苦笑。


ラグビーやサッカーのW杯、オリンピックでも、「競争」を煽っている典型例ですね。そしてやっぱりそこには、大きなお金が動きます。


食欲や性欲が永遠であるのと同様、承認欲もほぼ永遠でしょう。従って、社会での「競争」や「比較」の存在は、不可避です。あとは、個人の心がけ次第です。


上記本は、比較や競争によってではなく、自分自身の仕事や生活に集中し、自分の指針・基準に基づいて改善させていくことで「承認欲」を満たすことを提案しています。



そういえば、イチローは、首位打者になることにはあまり価値を置いておらず、安打数200本にこだわっていました。他者との「競争」や「比較」より、自分の指針・基準、ということでしょう。さすが、イチロー。