マス・マーケティング 営業の悲劇 | 六月の虫のブログ

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 今日、某製薬会社の営業が当店を訪問してくれました。あいにく、私は風邪が長引いていて自宅で休憩していました(午前中と夜は出勤しましたが)。話は家内が聞いたのですが、当店の営業担当者が肩叩きにあい、退職することになったそうです。彼はまだ五十六歳で定年まで4年もあります。

 

 彼の会社ではリストラの嵐が吹き荒れていると彼から聞いていましたが、彼は役職にも就いておらず、組合員なので大丈夫だと聞かされていたので驚きました。


 彼が勤めている製薬会社は、問屋を通さない直販メーカーの大手です。彼の会社が、マス・マーケティングに大きく舵をきったことで営業が必要でなくなったのです。


 他の競合製薬会社は、マスだけでなく、提案型のマーケティング(黙っていては売れない非マスコミ商品)にも力を入れています。提案型のマーケティングの商品は、お客様にその効能を理解していただかないと売れません。


 彼の勤めている会社は、マス・マーケティングに傾斜しました。つまり、マーケティングは、テレビや雑誌などのマス・メディアを通じてやる。営業の仕事は、御用聞きと雑用係になりました。当店でも彼の会社との商談は、単純でした。いくら仕入れるから、いくらにしてくれるのか?値段の交渉だけです。それが終わると、彼は商品にコマーシャルしているアイドルのシールを貼ったり、既製のPOPを付けたりして帰ります。


 彼は、私よりもだいぶん年上ですが、彼との雑談は楽しかった。商談は直ぐに終わるので、雑談の時間が長かったのです。


 彼の会社の商品は、価格勝負のものが多い。マス・マーケティングにのる商品、つまり、みんなが知っている商品は、価格で訴求するのが一番効果があるからです。


 でも、そうなると営業はいらなくなるのです。営業は、棚卸しや新店の棚入れの手伝いくらいしか、使いようがない。価格の交渉なんて、機械的に決められますから・・・(100個仕入れたら150円、1000個で120円のように)。


 彼の会社は、人に金を使うのを止めて、マスコミに金を使うようになったのです。


 彼がずっと前に言っていたことを思い出します。


 「うちの会社で定年退職した人を見たことがない」


 悲劇です。