十六歳のアメリカ Vol.81 | 六月の虫のブログ

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ニュー・ファミリー


二四、馬小屋で (つづき)


 二人とも寒さを忘れるくらい興奮していた。後で考えると、うまく行ったのが不思議なくらいだ。馬小屋にいたのは、たぶん三十分くらいだったと思う。私がそろそろ家に戻らないとみんなが不思議に思うとシェリーに言った。二人でもう一度抱き合ってキスをした後、二人で馬小屋を出た。彼女は私が飲み干したビールの空き缶と毛布を持って家に入った。彼女と入れ替わりに、デイヴが外に出てきて私に話しかけてきた。彼は、私が外で何をしているのか尋ねた。私は、デイヴの方は見ずに遠くを見つめたまま、酔いを醒ましているんだと返事をした。事実、そろそろ酔いを醒ます時間だった。デイヴは私が大丈夫だと思ったのか、家に戻って行った。私は、気温マイナス二十度をこれほど清々しく感じたことはなかった。


 余談だが、私がリックのシェリーに対する気持ちの凄さを知ったのは、ずっと後のことだ。私がカンカキーを去った後、シェリーをホームカミング・ダンスに連れて行ったのはデイヴだった。信じられなかったが、本当だ。このとき、リックはデイヴにシェリーに手を出さないという約束をさせたらしい。また、彼女が高校を卒業した後も、リックは彼女を諦め切れず、毎週彼女の元に通ったらしい。彼女は、リックには指一本触れさせず、付き合いたければ、痩せるように彼に言ったらしい。私が大学に入ってから、リックに再開したときは非常に驚いた。デイヴから噂は聞いていたが、高校時代のリックの面影はなかった。彼は私より小さくなっていた。体重はまだ私よりもあったかもしれないが、背が私より低い分、私より小さく見えた。以前から、私より背が低かったのは知っていたが、それを実感するのはそのときが初めてだった。

結局、痩せてもシェリーに振られた彼だが、痩せたおかげで良い彼女ができて結婚したんだから、由とすべきか。


 また、大学時代にシェリーと再開したときも少し驚いた。彼女の顔はまだ子供っぽかったが、身体は完全に成長していた。お尻も丸みをおび、胸は異常に大きく立派になっていた。リックが彼女をしつこく追い回すのもうなずける見事な成長振りだった。




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 かつて、ビートルズが名前を隠して作ったバンドと話題になった ”KLAATU" 。クレジットは作詞・作曲も個人名でなく、 ”KLAATU" だったのと曲の感じもビートルズに似ていたからそういう噂が出たのだろう。


 これは、 ”KLAATU" の二枚目のアルバム、 ”SIR ARMY SUIT" です。裏面の4曲目に ”CHERIE" (シェリー)という曲があります。スペルは違いますが、この曲を聴くたびに馬小屋でのシェリーとの思い出に浸ってしまいます。音楽を聴いてノスタルジーに浸る、音楽っていいですよね。



注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。