十六歳のアメリカ Vol.80 | 六月の虫のブログ

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ニュー・ファミリー


二四、馬小屋で (つづき)


 キッチンでピザをつまみながらビールを飲んで、みんなで馬鹿話をした。リックはシェリーに話しかけていたが、彼女は上の空だ。私と目が合うと彼女は微笑み、私も彼女に微笑み返した。これも他のみんなには悟られないように気を使った。

 ビールで盛り上がった頃、ビル・ザックが、女の子を二人連れて到着した。ビルはリックより背も高く、体重もあった。体重は二百キロ以上あるように見えた。これだけ大きな人間を日本では見たことがなかった。彼が連れてきた女の子たちは、もう既にアルコールを飲んでいたらしく、出来上がっていた。

 パーティー会場は二階にあるスコットの部屋に移った。ステレオのボリュームを上げて、部屋を暗くした。すると、ビルはジョイントを取り出し、火をつけた。彼はそれを目一杯吸い込むと、女の子の一人に渡した。彼女もまた大きく吸い込み、次の人に渡した。デイヴは回ってきたジョイントを吸うと、私に渡した。私は付き合い程度に軽く吸って、スコットに渡した。ボブは吸い込んだ煙をその部屋に遊びに来ていたスコットの犬に向かって吹きかけた。それを見ていたみんなは、面白がって犬に煙を吹きかけた。スコットは、部屋を真っ暗にしてストロボ・ライトをつけた。光が点滅する中、犬は非常に驚いた表情を見せ、みんなの笑いを誘った。

 ビルの連れてきた二人の女の子はベッドに上がり、みんなのリクエストでキスし合って、じゃれついていた。点滅した光の中で見る彼女たちの動きは、みんなの興奮を誘ったらしい。ボブが女の子の一人にちょっかいを出し始めた。

 私は、シェリーを探しにキッチンに降りた。彼女は、私の顔を見るなりコートを着て外に出た。私も自分のコートとビールを持って、彼女の後を追った。彼女は馬小屋の一番奥に毛布を敷いて待っていた。私はビールを彼女に勧めたが、彼女は黙って首を振り、私を手招いた。


 つづく・・・




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スコットの農場の馬小屋もこんな感じだった。ウィラー家の子供たちは、それぞれが馬を持っていた。世話も大変だと思うが、なんかすごいと思った。



注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。