十六歳のアメリカ Vol.78 | 六月の虫のブログ

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ニュー・ファミリー


二四、馬小屋で (つづき)


 私は驚いて聞き返した。彼女は、「経験したい」と私の目を見ながら言った。まだ十四歳の彼女の言葉は、十六歳の私の気を動転させるのに十分だったが、私は冷静を装い彼女の真意を確かめようとした。私は彼女に、「女の子にとって初体験は大切なことで、そんなに簡単に経験するものではないし、後々後悔するかもしれないよ」と説いた。私は彼女の意志の強さを確かめるために、否定的な見解を彼女に投げかけた。しかし、彼女はその度に絶対に後悔しないと繰り返し言った。彼女の意志の強さを知り、私は彼女と「セイコー」することを約束した。次にスコットの家、つまり彼女の家でパーティーをするときが、そのときだと決めた。リックが彼女のことを好きなことは知っていたが、私の頭からそのことは消えていた。

 次の日の朝、スコットはいつもどおり私をワドリー家に迎えに来た。シェリーはいつもどおり助手席に座っている。私はいつもどおり助手席の後ろの席に腰掛けた。スコットが車を走らせるやいなや、シェリーの右手が私のひざに伸びてきた。彼女はその手をひらひら振って、私の手を求めた。私はスコットに気づかれないように彼女の手を握った。彼女は指をいろいろ動かし、私の手をもてあそんだ。学校に行く車の中では、うとうとすることが多かったが、この日から学校までの四十分が大きく変わった。ただ、学校に着くと二人とも平静を装い、朝の車の中と印刷工場で二人きりでいるとき以外は、お互いよそよそしく振る舞った。二人の関係を知るものは誰一人いなかった。デイヴやリック、そしてスコットも夢にも思っていないことだろう。



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ザ・ジュニア・ホールウェイ(十一年生の廊下)。両側にロッカーがある。なぜか、この写真がイヤー・ブックにありました。私にとってノスタルジーに浸れる写真です。



注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。