シネトーク82『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』●シーザーの“サル芝居”に負けたフランコ(笑)
三度のメシぐらい映画が好きな
てるおとたくおの
ぶっちゃけシネトーク
●今日のてるたくのちょい気になることシネ言
「TOHOシネマズってマナーCMが多すぎないか?」
シネトーク82
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』
RISE OF THE PLANET OF THE APES
監督:ルパート・ワイアット 脚本:リック・ジャッファ/アマンダ・シルヴァー 音楽:パトリック・ドイル
出演:ジェームズ・フランコ/フリーダ・ピント/ジョン・リスゴー/ブライアン・コックス/トム・フェルトン/アンディ・サーキス
2011年米/106分/シネスコサイズ/DLP上映/20世紀フォックス配給(2011年10月7日公開)
※ネタバレしてます! ご注意ください
てるお 「本作を観る前に『猿の惑星』を改めてブルーレイで観直したんだけど、やっぱり面白いわ」
たくお 「昔、KBS京都で5作一挙放送の『猿の惑星まつり』をやったことがあってスゴかった。さすが地方局の強みだわ(笑)」
てるお 「5本で1つの壮大な物語がループとしてつながる作りは、当時、20世紀フォックスがシリーズ化を想定してなかっただけによく考えたと思う。ただ、スケールはショボくなっていくけど(笑)」
たくお 「1作目(以下68年版)のエンディングも衝撃だったけど、それよりもゴリラが人間狩りをするシーンを初めて見た時の衝撃の方が大きかったな。幼い頃に家族でTVで観た記憶があるんだけど、あの猿人メイクが怖くてさ」
てるお 「今見ても妙にリアルなんだよね、あのメイク。CGとは違う生々しさがある」
たくお 「でも実は地球だったというオチに子供ながらに疑問がわいてさ、サルたちは英語をペラペラ喋ってるんだから主人公がすぐに地球だって気づかないのはおかしくない?とオヤジに聞いたら、答えに困ってた(笑)」
てるお 「ヤなガキだな(笑)」
たくお 「そのオヤジにデパートでシーザーのフィギュアを買ってもらったんだけど、あのオモチャどっかいっちゃったなあ~。大切に取っておいたらプレミア付いてたかも」
てるお 「で、今回はその『猿の惑星』の“起源”を描いたエピソード0。ティム・バートン版から10年ぶりのシリーズ新作となる」
たくお 「ちょっとタイトル詐欺入ってるよね。『猿の惑星』じゃなくて『猿の叛乱』やん!」
てるお 「確かに『猿の惑星』誕生までたどり着かなかったねえ。言うなれば序章の“起”の部分だな」
たくお 「ま、多分シリーズ化されるだろうし、猿の惑星化までの“架け橋”となる部分が今後描かれていくんだろうけど」
てるお 「面白かったし、完成度も高いんだけど、ただ俺が思ってた“前日譚”とちょっと違うんだよねえ」
たくお 「そう? 僕は68年版に次ぐ出来だと思うけどね。『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』ほど完成された作品とは思わなかったけど、でももう2回観たよ」
てるお 「新薬のウイルスによって猿が高い知性を得るというシノプシスはいいんだけど、人間が滅んでいく原因が同じウイルスというのがあまり面白くない。あれじゃ『バイオハザード』じゃん」
たくお 「でも現代社会で人間が死滅する要因としては、やっぱり未知のウイルスとか病原菌とかが一番説得力があるわな。というか、むしろそうせざるを得ないでしょ。『ターミネーター』みたいにマシーンが自我に目覚めて核戦争を起こすような話だとあまりに嘘っぽいし・・・」
てるお 「とはいえ、核戦争後の話だった68年版に繋げるとなると、続編ではどうしてもその惨劇を描かなければならないよね」
たくお 「あの、勘違いしてる人も多いけど、今回は68年版のプリクエルとして作られてるわけじゃないからね。スタジオは別のシリーズの第1弾として作ってるから」
てるお 「えっ? 違うの!? ここからチャールトン・ヘストンの話に繋がるんじゃないの?」
たくお 「確かに68年版をリスペクトしているし、それを匂わせる描写もいくつかあったけど、完全に繋げようとするとどうしてもストーリー的に無理が生じてくる」
てるお 「でもファンとしては68年版に繋がってほしい気もするけどね」
たくお 「話のベースはシーザーが人類に反乱を起こす4作目の『猿の惑星/征服』なんだろうけど、ストーリーは1から作り直されているリブート(再起動)という位置づけなので、シリーズを1本も観ていない人でも十分に楽しめる」
てるお 「仮に68年版と繋げたとしても、2作目以降の話と矛盾が出てくるわな。シーザーは2度、人類に宣戦布告するわけか」
たくお 「とはいえ、スタジオも68年版の存在を完全に無視しているわけじゃないようで、今後の続編で無理のない範囲でリンクさせるかもしれない。でもあまりに話がヘンな方向に走っていく2作目以降はさすがに“なかった”ことにしてるでしょ」
てるお 「旧シリーズでは猿の惑星の誕生のルーツがタイムパラドックスによるものと描かれているので、今回の話とどうしても噛み合わないよね」
たくお 「今作は別の世界で起こっている猿の惑星の起源。要するにパラレルワールドのお話」
てるお 「確かにミュータント人間とかまた出てこられても困るし(笑)」
たくお 「今回は68年版を観たファンならニンマリする場面がいくつかあった。自由の女神のおもちゃで遊んでいるシーザーとか」
てるお 「ドッジがシーザーに水を浴びせる場面は68年版の対比シーンになってる。テイラーがゴリラ兵士に水をぶっかけられる場面は“猿の復讐”に見えるよね」
たくお 「そのドッジがテイラーの名ゼリフ『汚いサルめ! 俺に触るな!』を吐く場面も思わずニヤリ」
てるお 「ドッジ役のトム・フェルトンはイジメキャラがすっかり板についてるなあ(笑)」
たくお 「そういえばドッジ・ランドンって名前、テイラーと一緒にシャトルに乗ってた乗組員がドッジとランドンの合体ネームなんだよね」
てるお 「おお! そんなところにもファンサービスが!」
たくお 「シーザーが初めて『NO!』と言葉を発する場面も、テイラーが猿人たちの前で大声を上げる衝撃シーンの対比になっているのがニクイ」
てるお 「TVでスペースシャトルによる火星探査のニュースを報じる場面も、どうやらテイラーが乗ったのと同型っぽい」
たくお 「さらに少年が配達する新聞には『Lost in space』の文字が。この場面では字幕が出ないので見過ごしがちだけど、シャトルの不時着は何気に68年版を暗示している」
てるお 「他にもコーネリアというメスザルもいたし」
たくお 「ウィルがシーザーの母親を“Bright Eyes”と呼んでいたけど、これもジーラもテイラーをそう呼んでいたシーンへのリスペクトでしょ」
てるお 「元々、このシリーズは核問題や抗争、差別、階層社会など人類の危機意識を巧みにすり込んでいるのが面白い」
たくお 「そういう意味じゃ、アルツハイマーや介護などの社会問題は今日的だし、遺伝子工学の貢献と欠点は現代的」
てるお 「今作の“人類の警鐘”のテーマもしっかりと描かれてるんだけど、深さがない」
たくお 「というと?」
てるお 「さっきも言ったように死のウイルスが世界中に蔓延し、それによって人類が激減するというオチはちょっと乱暴だし、しかもその重要な部分をエンドクレジットで世界地図を広げて見せるだけの簡略化した演出は安っぽすぎる」
たくお 「猿には効果テキメンで人間には死をもたらすって、なんて都合の良い(悪いとも言えるが)ウイルスなんだよ、というツッコミはあるけど、浅はかな人類の不遜という奥深いテーマは悪くないよ」
てるお 「DNA操作によって自然界のルールを捻じ曲げてしまう、つまり、神の領域を土足で踏み込んだ人間の愚かさという意味では、まだ『ジュラシック・パーク』のほうが説得力があったなあ」
たくお 「『ジュラシック~』はDNA恐竜を弄ぶじじいの野望を止めようとするグラントやマルコムのような是正する側の人間がいたからドラマとしてもそれなりに面白かったんだけど、本作ではそういう人間が出てこないからね」
てるお 「一番の大罪者は主人公のウィルでしょ。最初はアルツハイマーの父親を救おうとする彼に共感するものがあったけど、あんな重要なウイルスを自宅の冷蔵庫なんかに保管して、それをまんまとシーザーに盗まれてしまう危機意識のなさに呆れたよ。事件の原因を作った張本人なのに、いかにも“イイ人”で描かれているのがイヤ」
たくお 「劇中で8年も時が経っているのに、知性的成長を遂げていくシーザーに対して、ウィルは人間的に全然成長していない指摘もあるね」
てるお 「しかもウィルは自分のやったことがどんなに恐ろしいことなのか分かってないのが致命的。でなきゃ、人類を脅かす存在になりつつあるシーザーを森に逃がすはずがない」
たくお 「ウィルの同僚もこれまた利益追及しか考えられないヤツ。必ずこういう浅はかなバカキャラが出てくる(笑)。『ジュラシック』のマルコム博士の名言である『自然界をレイプするような』連中の最期は哀れ」
てるお 「『ターミネーター』にしろ、『アイ,ロボット』にしろ、パンドラの箱を開けてしまい墓穴を掘って自滅するキャラってどこも同じような連中なんだよね」
たくお 「冷静に考えたら、ウィルとその同僚とアホな飼育員の偶発的なミスが重なって人類が死滅し、猿の惑星が誕生したと思ったら怖い映画だよな」
てるお 「脚本の弱さは否めない。ウィルの恋人のキャロラインをもっと“歯止め”役として描き、ウィル自身にコトの重大さを気づかせるような描写が1つでもあれば、もっとドラマ性が増したと思う」
たくお 「猿の惑星化=傲慢な人類の末路という根幹となるテーマはあるんだけど、科学の進歩を人類的悲劇として描いているのか、他生物との共生を考えない人間への警告なのか、どっちを描きたいのか曖昧な感じはあった」
てるお 「その両方を描きたかったんだろうけど、バランスの悪さは気になったね」
たくお 「ツッコミ部分も少なくない。シーザーの母ちゃんは新薬実験用のサルなのに、研究員が妊娠に気づかなかったというのがまずあり得ない(笑)」
てるお 「シーザーは8年の歳月をかけて驚異的な知能を身に付け、ついには喋るところまで進化するんだけど、他の猿はあっという間に進化しちゃうのもおかしくね?」
たくお 「シーザーは母の遺伝でウイルスの効能が引き継がれていたのに対し、シーザーが仲間の猿やゴリラに浴びせたウイルスはより強力に改良されたものだからそんなにヘンだとは思わなかったけど」
てるお 「にしたって、たった数時間で人間並みの知力を身に付けるのはどうなのよ? しかもウイルスを浴びていない動物園のゴリラたちも一緒になって行動してるし」
たくお 「そうしないと映画が2時間で終わらないでしょー。ま、クライマックスの唐突感は否めないけどね。動物園のゴリラは“類は友を呼ぶ”ってことで(笑)」
てるお 「一番の問題は猿が反旗を翻すその理由。明らかにシーザーが仲間を扇動しているんだけど、シーザーが人間と決別する理由が今ひとつピンとこなかった」
たくお 「自分はペットなのか何なのか、シーザーが自らのアイデンティティーに悩み続け、それが爆発したから・・・・なのでは?」
てるお 「シーザーが劣悪な保護施設でドッジの嫌がらせを受け、ウィルと一緒に家に帰れなかったことからついに“キレ”ちゃうのが反乱の発端なんだけど、そんな理由で人類VS猿になっちゃうのかよ」
たくお 「猿にとっては耐え難い屈辱であり、苦痛だったんでしょ。しかも人間並みの知性を持ったシーザーならなおさら」
てるお 「猿たちが人間からもっと酷い仕打ちを受けるとか目を背けたくなるような描写を入れないとダメでしょ。彼らが反乱を起こさざるを得なくなった説得材料が弱い」
たくお 「例えば?」
てるお 「人間が猿を実験用に切り刻んでいるような残忍な描写を入れて、観客には人でなしの人間どもに一切の感情移入を許さず、猿を応援したくなるような仕掛けがあってもよかった」
たくお 「レイティングの問題からそんなにハードな描写にはできないでしょうよ」
てるお 「でも世界規模で猿たちが反旗を翻すところが描かれていないのはやっぱり物足りない。サンフランシスコの一部の賢い猿がゴールデン・ゲート・ブリッジで暴動を起こしたところで終わっちゃってるし」
たくお 「世界中の猿と人類が衝突する第2ラウンドは続編までお預けなんでしょ、恐らく」
てるお 「イメージボードで描かれていたような猿VS人類の大掛かりなバトルがもっと観たかったんだけどなあ」
たくお 「今回はホップ・ステップ・ジャンプの“ホップ”って感じだね」
てるお 「そうは言いつつも、パフォーマンス・キャプチャーによるシーザーはやっぱりスゴイわ。また視覚効果の進化を実感させられた」
たくお 「『キング・コング』の時もこれ以上のCGは出てこないだろうと思ってたけど、技術の進歩って恐ろしいねえ。本物の猿は1匹も出てないし」
てるお 「ジェームズ・フランコよりもシーザーの方が表情豊かすぎてコワイよ」
たくお 「ついにCGが俳優を追い抜いた瞬間かもしれない。と言っても、シーザーを演じているのも一応俳優だけど」
てるお 「ただあまりに表情豊かに擬人化されすぎているので、なんかチンパンジーらしさがないんだよ。どこか人間っぽさが出ちゃってる」
たくお 「その批判は多いね。シーザーの“喜怒哀楽”が説明されすぎちゃってて、その表情から汲み取る“楽しさ”があまりなかったと」
てるお 「ちょっとやりすぎかも。もっとチンパンジーらしいぎこちなさがあっても良かった」
たくお 「でもこのリアルすぎる視覚効果のおかげで、観客が猿たちに感情移入しやすくなってるのも事実」
てるお 「前半と後半のシーザーの顔つきの変わりようがすごいよ」
たくお 「序盤は幸せな毎日を過ごすシーザーの温かい眼差しに観ている方も優しい気持ちになっていく」
てるお 「外出で公園に向かう時、車の中から物珍しそうに外の世界を眺めるシーザーがめちゃめちゃ愛らしい」
たくお 「再び病魔に襲われるウィルの父親にフォークの使い方を正そうとしたり、隣人に暴力を振るわれる父親を助けようとするシーザーの悲しげな表情がまた泣かせるんだよ」
てるお 「木を登っていくシーザーの場面の歳月の経過を示した演出もうまい。あっという間に5年後(笑)」
たくお 「あそこはシーザーが人類と対等、もしくはそれ以上の存在意義を見出そうとする重要な場面。木のてっぺんからサンフランシスコの街を眺めるシーザーの心の中に芽生えたものとは」
てるお 「街を眺めるシーンが2度出てくる。1回目はシーザーがアイデンティティーを模索し始める場面で、エンディングでは自分の存在意義を見つけたシーザーのさらなる野望が見え隠れする」
たくお 「人間不信に陥り、怒りを露わにするシーザーはリーダーシップを発揮し、すっかり戦士の顔になっている。しまいには馬まで駆ってるし(笑)」
てるお 「迎えに来たウィルを拒絶し、反逆を“決意”をする表情もいい」
たくお 「さっきまで激闘を繰り広げていたシーザーが森でウィルを再会するラストではまた優しい目に戻ってるんだよ。あそこがまた泣かせるわ~」
てるお 「VFXチームが特に力を入れたのが目の表情。目の部分だけで8カ月も費やしたらしいよ」
てるお 「たまにボディランゲージも入ってたけどね。しかしシーザーが毛利元就の『三本の矢』まで知ってたのはビックリだったけど(笑)」
たくお 「これぞアンディ・サーキスの“サル芝居”の賜物。メイキング映像を観たんだけど彼の力演がすごい」
てるお 「アンディ以上のサル役者はいないね(ホメ言葉です)」
たくお 「今まで屋内のスタジオで撮影するしかなかったパフォーマンス・キャプチャーもついにロケセットで撮ることができるようになった」
てるお 「ゴールデン・ゲート・ブリッジのクライマックス・シーンではその利点を大いに活かして、熾烈な攻防戦で圧倒する」
たくお 「『X-MEN:ファイナル ディシジョン』でもマグニートーがハデに暴れてた場所だけど、猿たちはウイルスでより強化された身体能力を使って人間どもを打ちのめす。パフォキャプの猿とフルCGの猿が違和感なく融合しているのは圧巻」
てるお 「来年のアカデミー賞視覚効果賞は確実でしょ」
てるお 「結局、事件の加害者はウィルで、持つべきではなかった知性を持たされてしまったシーザーと、シーザーによって知性を与えられてしまった仲間たちが被害者、という解釈でいいのかな?」
たくお 「それを言うなら最大の被害者であり、加害者になってしまったのは、隣人のパイロットのおっさんだろうよ(笑)」
てるお 「そっか。車を傷つけられ、チンパンジーに襲われ、ウイルスをうつされ散々な目に遭ったあげく、死のウイルスを世界中に広めた張本人」
たくお 「そういえばこの間、オハイオ州の農場から50頭以上の猛獣が脱走した事件が実際にあったけど、逃げた動物の中には危険なウイルスをもった猿もいたとか」
てるお 「リアル『猿惑』じゃん! こえ~~~」
たくお 「今作では猿が禁断の知性を授かり、死のウイルスが世界中に蔓延するところで終わっているので、今後の展開が気になるよね」
てるお 「68年版に繋がるという前提で続編を作るなら、いつ核戦争が起こったのか、猿がいつ人類を制圧したのか、人間はなぜ原始的になり言葉を失ったのかなど、まだまだ語られるべきエピソードがたくさんある」
たくお 「今作は猿が人類に反逆を起こす結末なのに、バッドエンドじゃなくてハッピーエンドなんだよね。あれを観ると猿が自分たちから人類に攻撃を仕掛けるとは思えないので、猿が人類を脅威とみなす“きっかけ”が必要になってくる」
てるお 「シーザーは好戦的な猿ではないし人間を殺さなかった。そうなると猿を敵と見なす人類が大規模な猿狩りを行い、生きるための戦いを強いられる猿の猛反撃が始まる・・・・という展開にするとか」
たくお 「ウイルスで人類が激減して猿の猛攻に苦戦する過程を2作目で描き、3作目で人間社会が完全に崩壊して猿社会が生まれていく、というのが理想的な続編なんだけど、ファンを良い意味で裏切るような展開があってもいい」
てるお 「新シリーズの完結編で望むエンディングは、猿たちが自由の女神を占拠して、そこにジェリー・ゴールドスミスのテーマ曲が流れると、もう感涙ものなんだけどね!」
たくお 「そうなんだよ、今回、ゴールドスミスの音楽が使われていないのがちょっと残念だった。旧シリーズと区別するためにあえて使わなかったのかもしれないけど」
てるお 「4作目『猿の惑星/征服』でシーザーが人類に宣戦布告するエンディングがすごくカッコイイ。ああいうシメにしてくれたら最高だよな」
たくお 「4、5作目で描かれていた、猿同士の反目や猿の階層社会といったテーマも忘れずに入れてほしい」
てるお 「5作目では、生き残った人間との共存を望むシーザーが人間抹殺を目論むゴリラと戦い、『猿は猿を殺さない』という猿の法則が破られ、人間と同等の存在になってしまう皮肉な展開が面白かった」
たくお 「正確に言うとシーザーが息子をゴリラのアルドーに殺されて、復讐を遂げたというオチなんだけどね」
てるお 「で、猿と人間は争うことなく平和を愛して共存することになりましたとさ・・・・・と、完結編にしてはかなり小じんまりとした話で、シメもユルかった(笑)」
たくお 「今回の『創世記』のロッテン・トマト評価は82%と驚異的な高評価で、世界興収は4億3000万ドルを超えてシリーズ最高のヒットとなった。だから続編製作は何の障害もない」
てるお 「続編を作るべき。あとはどれだけストーリーで猿惑ファンを満たしてくれるか。これで終わりだったら物足りないしもったいないよ」
たくお 「フタを開けたら今回は“猿の惑星”じゃなかったしね。むしろ3部作で猿の惑星が誕生するまでを描くことによって、本当に評価されるべき作品になるんだと思う」
てるお 「2作目は『猿の惑星:革命期』、3作目は『猿の惑星:新世紀』で!」
たくお 「旧シリーズを一度解体して、新たに組み立て直すという意味では今回のリブート版は成功作といえるんじゃないかな」
てるお 「さっきも言ったけど、旧2~5作はもう無視してもらっていいから、せめて68年版に無理のない範囲で近づけてほしいよね。ストーリーや設定の整合性を色々と整える必要があると思うけど」
たくお 「ただ、辻褄合わせや整合性ばかりに気を取られて話がつまんなくなっちゃったら本末転倒なので、新シリーズは『こうきたか!』とオリジナルのファンを唸らせるようなものに仕上げてほしい」
てるお 「にしても、最近のハリウッドはプリクエル、エピソード0映画が流行ってるなあ。『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』しかり、『パラノーマル・アクティビティ3』しかり」
たくお 「ネタバレだけど『ファイナル・デッドブリッジ』もそうだったし。アメリカでは『遊星からの物体X』の前日譚の『THE THING』が封切られたばかり」
てるお 「今ハリウッドではプリクエルやリブートは手堅く稼げるリサイクル・ビジネスとして注目されている。今後も『ホビット』『エイリアン』『ブレードランナー』などが待機中」
たくお 「どの映画にしたってオリジナル版という“比較対象”が既にあるし、プリクエル版を手掛けるクリエイターはその高いハードルを超えなきゃいけないから大変だと思うよ」
てるお 「オリジナルのファンにいかに納得してもらえるようなものを作るか。『スター・トレック』や『X-MEN』のような成功作は稀」
たくお 「ところで予告編で猿が暴動を起こしてウィルの製薬会社を爆発させる場面があったはずなんだけど、本編にはなかったよね」
てるお 「そうそう、ないんだよあの場面。多分、DVD、BDの未公開シーン行きだろう」
たくお 「あとさ、予告CMでなでしこジャパンの澤穂希選手を起用しているのはなんで? 狙ってるの?」
てるお 「あえてノーコメントで(笑)」
●『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』満足度料金
てるお 1200円
たくお 1400円
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』 ★★★★