BDレビュー37『バトルランナー』●もっと評価されてもいいシュワのB級アクション
ブルーレイ視聴記 ３７
バトルランナー (US盤BD)
ライオンズゲート（2010年11月23日発売）
※『レッドブル』とのセット ＄19.99
■1987年アメリカ
■監督：ポール・マイケル・グレイザー
■出演：アーノルド・シュワルツェネッガー
マリア・コンチータ・アロンゾ
ヤフェット・コットー
リチャード・ドーソン
ＢＤ仕様
●101分
●ビスタサイズ
●メニュー画面：動画
●音声
英語 7.1chサラウンド dts-HDマスター・オーディオ
●字幕
英語／スペイン語
●MPEG 4-AVC／２層ディスク
●24チャプター
●作品レビュー
大いに笑わせてくれる個性的なバトラーたち
『ターミネーター』『コマンドー』『プレデター』『ゴリラ』『レッドブル』
『トータル・リコール』などのアクション映画を乱発し、
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで80～90年代のアクション映画界を
リードしていたシュワちゃん。
数あるシュワ映画の中では“その他の１本”として
数えられている程度の評価しかされていない本作だが、
コレはなかなかの快作アクションなのではないか。
管理化された近未来の社会。無実の罪を着せられた囚人シュワが
殺人ＴＶショー“ランニング・マン”に参加させられ、
５人の対戦相手と死闘を繰り広げていく。
近未来のデザインも貧弱でチープだし
（近未来なのにＴＶが４：３サイズのままだし）、
バトル・スーツのピチピチ・タイツは
シュワのアクション俳優のイメージを崩しかけたし
アクションは思ったほど薄味だし、ツッコミたくなる部分も多い。
ただ、TV局側がニュース映像を都合良く編集して事実を捻じ曲げ、
民衆心理を操作する描写は、現実のマスコミとダブる部分があり面白かった。
視聴率を優先するTV局の暴走はいつの時代でも変わらないってこと。
また、対戦相手の“ストーカー”たちは個性的な面々で
どいつも憎めない連中ばかり。大いに笑わせてくれる。
スシ職人のホッケーマン・サブゼロ、
チェーンソーで大暴れのパズソー、
オペラ男の“人間クリスマス・ツリー”ダイナモ、
自分の武器＝火炎放射器で自滅したファイヤーボール、
結局、何にもしなかったキャプテン・フリーダム。
（演じるジェシー・ベンチュラは『プレデター』で無痛ガンを撃ちまくってた人）
個人的にはダイナモが好きでしたね～。
全然強くねえし、ヒロインを乱暴しようとして
スプリンクラーの水で感電してパンツ姿のまま
自滅する最期がなんとも哀れ～。
（演じた俳優さんは本作の公開前に34歳の若さで死去。合掌）
で、憎たらしいＴＶ司会者が噴射ロケットに乗せられて
看板に突っ込んで爆死するエンディングは、
劇中のシュワと同じく思わず「すっきり！」と
言いたくなる、最高のカタルシス！
当時のシュワ映画はこういうスッキリなシメ方が多かった。
やっぱりシュワちゃんはめちゃ強かった、という分かりやすすぎる
バトル・アクション映画です。
原作はリチャード・バックマン名義で発表したスティーブン・キング。
ただ、オリジナルは制限時間内に逃げ切れば賞金をもらえる
という『リアル鬼ごっこ』みたいな話で結末も暗く、
映画版とは設定や話が大きく異なっている。
キング原作映画としては失敗作なのだろうが
むしろ“別物”として観たほうが楽しめるだろう。
もっとアクション演出がしっかりしていれば傑作になっていただろう。
ちなみに白紙となってしまったシュワ俳優復帰計画の中には
『バトルランナー』のリメイク企画も含まれていたんだそうな。
『トータル・リコール』よりも本作をちゃんとリメイクすればいいのに。
●本編レビュー
画質イマイチ、サラウンドは度肝を抜く！
日本では98年にカルチュア・パブリッシャーズが
一度だけDVDリリースして以来、廃盤になったまま
再ソフト化されていない不遇のタイトル。
US盤DVDでは04年にdts-ESのスペシャル・エディションで
発売されたことがあったが、日本ではリリースされなかった。
北米で昨年2月にBD化され、さらに11月には同じ価格で
『レッドブル』とセットにした廉価ダブルパックでリリースされたので
そちらのBDを購入。２枚パックで20ドル（約1700円）なのだから激安！
ただ、映像は思ったほどの高画質感がなく今ひとつ。
鮮度も低いし、解像感も甘いだし、HDにしては物足りない。
もっとキレのある画質がほしかったところ。
逆に7.1chのdts-HDマスター・オーディオはすこぶる迫力。
そりゃこれまで日本盤DVDのステレオでしか観てなかったわけだから、
このアップグレードな音に度肝を抜かれるのは当然でしょうね。
特に噴射ロケットでゾーンに飛ばされるシーンの
サラウンドがけたたましく凄まじい。必聴！
●特典
Audio Commentary By Director Paul Michael Glaser And Producer Tim Zinnermann
Audio Commentary By Executive Producer Rob Cohen
Game Theory（19分）
本作の近未来での設定を多角的に検証したビハインド。
シュワらは登場せず。
Lockdown On Main Street（25分）
911事件のドキュメンタリー作品。本作とはなんら関係がない。
Theatrical Trailer（1分）
『エイリアン２』の音楽が使われている劇場予告編
●Blu-ray SCREEN SHOT
●評点
作品：７．０
画質：７．０
音質：８．５
サラウンド：８．５
特典：５．０
価格：８５０円（パック価格1700円÷２。安すぎ！：笑）
総合：７．５
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