前回→■流れ■⑨最盛期(7)再会■2009.4.下旬

さて、白血球数も元に戻り、
感染症の脅威も去ったところで
予定していた水頭症治療にやっと本腰というところですが…
そこから事態は急速に展開していくのです。



4月28日、その日が、シャント術の予定日でした。
シャント術とは、水頭症治療のための手術で、
脳室内の溢れすぎた水(脳脊髄液)を、
体内に細い管を通しておなかなど別の場所に
引っ張ってやることで、体が自然に
吸収する力を利用して
脳内の圧を下げることが目的です。

シャント術についても医師からの説明がありましたので、
それもまた手術の項目で書きます。



その日を前にして、4月26日。
朝、病室にはいってきた医師は、ドレナージの高さを
前日よりも上げました。

どういうことかというと、ドレナージは重力に従って
液体が流れ出て降りるのを利用した機器ですので、
ドレナージを少し上げると、
その分落ちる方向への抵抗が大きくなり、
脳から外へお水(脳脊髄液)を出しにくくなります。

それをするとどういうことが起きるか?
⇒流れ出なかった分の髄液が脳室内にとどまり、
 腫れを引き起こし、髄圧が上がる可能性が大きくなる



そして翌日、27日。
術前最後のCT撮影です。
このCTでは造影剤は使いません。


その日の午後…

手術前日ということで、
看護師さんに清拭してもらい、
手術着に着替えようとしていたその時…

医師が突然入ってきて、
「いま何やってる?」と看護師に
あわてて布団をかけ
「今ちょっと清拭中で、もう少しで終わりますのでちょっと…」
という制止も振り切って、
そのまま。
「手術をやめようと思うんです」

衝撃の一言!

医師によると、
前日ドレナージの高さを上げたにもかかわらず、
脳内の水があふれる様子もなく、
前回のCTよりも落ち着いてきている。
⇒水頭症が自然におさまってきている可能性がある

ここで手術をして、感染症などいろいろなリスクに
さらされるよりも、
とりあえずここは一時延期して、
様子を見てみないか、
というものでした。


まさかそう来るとは、思ってもみなかったので、
すごく衝撃的でした。

そして、
次に医師がとった行動…

「よし、抜いてみよう」
いきなり、ドレナージの管を抜くと…!!!!!

またまた衝撃。

抜くのは一瞬でした。
少しだけ、痛かったかもしれませんが一瞬です。

その後、その傷口をステップルで閉じる方が
激痛でした(!)
最近の医療では小さな傷口はわざわざ麻酔で縫合
とかせずに、ステップルという、医療用ホッチキスみたいなもので
傷口を閉じるのです。
しかし、痛いです。
4発、ステップルの針を受けて、
あまりの痛みに涙ぐんでしまいました。

「はい、おしまい」
といってその処置は終了。

今回の入院での「痛い」ランキング1位ですね(苦笑)


とりあえずその日、
ドレナージを抜いたことで水頭症が悪化する可能性もあるが、
どれだけ「自然治癒能力」が力を発揮するか試すために、
翌日の朝まで様子を見て、
手術をするかしないかは予定日当日に決めよう、
ということになりました。


次回→■流れ■⑪最盛期(9)シャント術予定日■2009.4.28