生まれた時から棒倒し。

限りある資源をこそぎ合う。

逃れられない棒倒し。

限りある土地を切り取り合う。

将来をかけた棒倒し。

限りある時間を貪り合う。

死ぬ瞬間まで棒倒し。

限りある札束をむしり合う。


有無是非なく誰もが例外なく徴兵そして参戦。

拒否すれば何一つ手にすることできない仕組み。


勝ち負けを左右する重く図太く屹立する、与えられた棒。


そいつを倒さないように自分の懐へ砂粒をかき込み、

そいつが倒れるなら誰かの方へと、そんな測量を怠らずに、


倒れてしまったなら自分のつけた爪跡を迅速に消し、

四方を見渡して倒したに疑わしい爪跡を大仰に指摘し、


倒れた勢いで飛び散った砂粒の被害を言及したり、

倒れた棒の方向について分析を依頼したりと、

誰の一掻きが致命傷だったかという事の根幹から焦点をずらし、

自分の一掻きが関与していない、又は関与していないように偽装できそうなら、


いよいよ不利な立場の対戦者を強く責め立てる。


排泄物を主食とする情報商売屋を使って、

傍観者に他の対戦者らの私生活の醜聞を撒き散らし、

試合開始前に利益の受け渡しにより組んだ同盟を使って、

弱り目の対戦者を吊るし上げ言い逃れできないよう縛り上げ、


最終的に一度も棒を倒さなかったことになっている者が、


勝ち。


(もしどうしても倒してしまったらどうするのか、ですか?

実力者ともなると、黒星を肩代わりする者を飼っていたり、

一度や二度なら揉み消す調整くらい、たやすいのです)