今日はかの有名なマイクロソフト判決です
うーん、私がIT音痴であるのもありますが、やっぱり事実関係について判例は読み込めないといけないのに、7割くらいしかわかってない・・・
「こんなんじゃぁだめだぁ~高野山に出家して人生を悔い改めたい~」と思ってました・・・
てか、女人禁制かつ私はクリスチャン・・・
さて、
マイクロソフト社(以下、M社)は、政権の意図もあったのでしょうが、1990年代くらいからアホみたいに司法省のターゲットになっています
(事実関係の概要)
M社が自社のブラウザ(インターネットエクスプローラ、以下IE)のシェア拡大をもくろんで、インテル社や、アップル社に対して、自社のライバルブラウザであるネットスケープナビゲータ(NN)を排除しようと、さまざまな排他的契約(exclusive conduct)を結んでいたこと。これらに対して、シャーマン法1条、2条違反を根拠に米国司法省が、差止命令を求めて連邦地裁に提訴。
↓ 地裁判決では、ビル・ゲイツ氏がtestimonyのときに憮然とした態度をしていたのが功を奏したのかわかりませんが、エグい判決が下っています。 差止命令としてM社のOS部門とアプリケーションソフト部門の分割が命じられました
↓ 当然M社控訴
(ばくっとした論点)・・・ほんとはもっとたくさんありますが
1)M社の契約はexclusive conductか(排他的契約か)。そしてシャーマン法2条違反か。
2)抱き合わせ(ウィンドウズ(当時は95、98)とIEの同時インストール)は、シャーマン法1条違反か。
↓ 地裁では両方クロでした。 しかし、控訴審では、
↓
1)については地裁の判断を退けてます。ようはM社の独占力の企図を認めるに際しての、関連市場の画定とか、参入障壁(entry barrier)の存在とかが立証できてない、としてます
2)の抱き合わせ(tying)については、当然違法(illegal perse)ではなくて合理の原則で判断すべし、そのためには消費者利益だの、技術革新の細かい論点だのをつめないといけない、ということで、差し戻し(remand)されました
と、ばばっと書きましたが、M社のやっていたことは確かに悪いです。
【細かい話ははぶきますが、確かにロコツなやり方をしている。たとえば、インテルに対してウィンドウズ系のブラウザとライバル関係にある会社を応援するなら、インテル社のライバルになりえるAMD社に資本注入する、とか、アップル社とはオフィスを提供する代わりにIEを使わせるとか、、、】
よって判決自体に異論はないでしょう。
やりすぎ、ってことでしょう。
が、、、消費者からすると、M社が独占しているという状態は、裏を返すと、統一的な基準(しかも世界標準。ご案内のとおり言語が違ってもOSは一緒ですので、消費者はどこの国に言ってもWindows OSは使えるし、applicationソフトを使って作成したものをどこでもつかえる)を作成できている状態というのは利便的ではあります。
独占をすることは消費者の利益にかなっている、とまではいえませんが、基準の統一はpro competitive(競争促進的である)というM社の主張は一定程度理解はされるでしょう。
裁判所も先述の、グリネル判決をひっぱってきて、製品の優秀さとか、経営のすばらしさとか、歴史的な偶然による成長による独占は否定してないですし。 ただ、その後のM社関連の訴訟でも問題となりますように、「独占禁止法」VS「基準の統一」ということは古くて新しい論点であります。
OSが各PCごとで異なっていたら、ワードやエクセルに互換性がなかったら、とか考えると、今の社会はなかったでしょうし・・・
かといって、M社がOSをほぼ独占しているせいで技術革新が遅れているとか、価格が下がらないとか、批判はあります・・・
CPUのインテルも同じようなものですが・・・
競争がないから基準の統一ができた・・・?(消費者の利益)
競争がないから進歩が遅れている・・・?(消費者の損)
うーーーん、むずかしい・・・・二律背反じゃないことはわかってますが、どこまでならいいのか、っていうメルクマールが難しい・・・