三島由紀夫が市ヶ谷駐屯地の東部方面総監部で自決してから11月25日で50年が経った。
ノーベル賞候補とまで言われた文士としての三島由紀夫とは違う憂国の士としての最期であった。
東部方面総監室のバルコニーで檄を飛ばす三島の肉声は自衛官の野次にかき消されながらも現代の日本の国防の問題点を突いている。
「自衛隊は違憲なんだ、憲法を守る自衛隊は・・・」今の日本を見て三島由紀夫はどう思っているのだろうか?
三島が演説する時に額には「七生報國」の鉢巻きをしていた。
「七生報國」とは七たび生まれ変わっても、朝敵を滅ぼし、国に報いるの意味だ。
三島は「憲法改正のチャンスはもうない」「自衛隊が軍隊になる日はない」「健軍の本義はない」と嘆いている。
これは日本の今の現状を見ても明らかだね・・・。
「自衛隊にとって健軍の本義とは何だ、日本を守ること、日本を守ることとは何だ!?日本を守るということは天皇を中心とする歴史と文化の伝統を守ることである」と三島は自衛官に問うていた。
本当にそうだと私は思うのだが、当時の自衛官の心には響かなかったのかも知れない。
その後、三島は野次でかき消される演説に「お前ら聞け!聞けぇ!静かにせい、清聴せい!話を聞けっ!男一匹が、命をかけて諸君に訴えかけているんだぞ」と・・・・。
三島の演説は悲しいけれど自衛隊には受け入れられない話だったろうし、聞いても貰えなかった。
「今、日本人がだ、ここでもって立ち上がらねば、自衛隊が立ち上がらなきゃ、憲法改正ってものはないんだよ。諸君は永久にだね、ただアメリカの軍隊になってしまうんだぞ。(中略)
おれは4年待ったんだ。自衛隊が立ち上がる日を。……4年待ったんだ、……最後の30分に……待っているんだよ。諸君は武士だろう。武士ならば自分を否定する憲法をどうして守るんだ。どうして自分を否定する憲法のために、自分らを否定する憲法にぺこぺこするんだ。これがある限り、諸君たちは永久に救われんのだぞ。 」
自分を否定する憲法にペコペコか・・・、それでも自衛隊は国を守らなければならないし、自衛官は有事になれば命を懸けて戦うだろう。
自衛隊と「軍隊」は違う、この辺を理解していないと日本人はいけない。
戦車があり、戦闘機があり、イージス艦を保有していても自衛隊は軍隊ではないのだから・・・。
三島は、「諸君の中に一人でもおれと一緒に起つ奴はいないのか」と叫び、10秒ほど沈黙して待ったが、相変わらず自衛官らは、「気狂い」「そんなのいるもんか」と罵声を浴びせた。
予想を越えた怒号の激しさやヘリコプターの騒音で、演説は予定時間よりもかなり少なく、わずか10分ほどで切り上げられた。
「健軍の本義とは何だ!?」との三島の問いにちゃんと答えられる日本人や自衛官がどれだけいるだろう。
三島の自決から50年、三島由紀夫の問いかけに自衛隊は未だ軍隊になれず、国防上のいろんな問題は50年前と変わらず支那、北朝鮮、韓国、ロシアといった危険な周辺諸国に囲まれながら脅威があっても憲法の改正すら行われないでいる。
「自衛隊はアメリカの軍隊になってしまうんだぞ」三島は叫んだ。
アメリカありきの自衛隊なのは間違いない。
今一度日本人は三島の演説を聞き真剣に考えて欲しい。
「健軍の本義とはなんだ!?」