これが本当の対中国戦シナリオ! 元自衛隊海将が語る~鍵を握るのは潜水艦戦!~【未来編集】 | 戦車兵のブログ

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元海上自衛隊の海将であった矢野一樹氏の対中国戦の話です。

 

鍵を握るのは潜水艦で、日本も将来は原子力潜水艦を保有しないと対処できなくなるという話です。

 

解りやすい解説なので動画を御覧ください。

 

 

第一列島線および第二列島線は、中華人民共和国の軍事戦略上の概念のことであり、戦力展開の目標ラインであり、対米防衛線である。

 

1993年に李鵬首相が全国人民代表大会で「防御の対象に海洋権益を含める」と表明した。

 

1997年に石雲生が海軍司令員に就任すると、沿岸海軍から「近海海軍」への変革を本格化させた。

 

その中で打ち出された「海軍発展戦略」の中でも、第一列島線および第二列島線の概念が強調された。

 

法制面では、1992年に、尖閣諸島、西沙諸島、南沙諸島を中国の領土であると規定した「領海および接続水域法」(領海法)を施行し、海洋の管理権と海洋権益等に関する独自の法整備を行った。

 

さらに1997年、国防の範囲に海洋権益の維持を明記した「国防法」を施行、さらに現在、国家海洋局が中心となって、島嶼の管理を強化する「海島法」の立法作業を進めている。

 

 

短期的には対米国防計画、長期的には中国が世界に同盟国を持つ覇権国家に成長するための海軍建設長期計画。具体的には、2010年までは第一列島線に防衛線を敷き、その内側の南シナ海・東シナ海・日本海へのアメリカ海軍・空軍の侵入を阻止することである。

 

 

第一列島線は、九州を起点に、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるラインを指す。

 

中国海軍および中国空軍の作戦区域・対米国防ラインとされる。

 

マスコミ発表ではこの第一列島線に日本列島の一部が含まれており、日本の一般国民には寝耳に水であったため、一時期問題となった。

 

 

中国海軍にとっては、台湾有事の際の作戦海域であり、同時に対米有事において、南シナ海・東シナ海・日本海に米空母・原子力潜水艦が侵入するのを阻止せねばならない国防上の必要のため、有事において、このライン内においては、制海権を握ることを目標として、戦力整備を行っており、また作戦活動もそれに準じている。

 

 

中国側の対米国防・生存権の立場から見るならば、少ない守備海空軍力で優勢な米海・空軍相手に米空母・原潜の南シナ海・東シナ海・日本海侵入阻止をするには島嶼線を天然の防波堤として利用するのは「軍事的地形利用としては」当然であるが、中国人民解放軍が想定した島嶼線は(中国の同盟国でもない)日本・台湾・フィリピン・インドネシアの領土/領海である。

 

中国人民解放軍を統帥する国家中央軍事委員会の副主席であり中国海軍を掌握する劉華清提督がそのような「内部国防方針」を打ち出した事は、その話を聞いたこれら島嶼各国を困惑させた。

 

 

また、この区域内には、南沙諸島問題、尖閣諸島問題や東シナ海ガス田問題など、領土問題が存在しているため、第一列島線に関連する戦力整備・軍事行動は関連諸国の警戒を呼び起こしている。

 

 

中国は区域内の海域を「海洋領土」と呼称しており、海洋事業は国家発展戦略であるとしている。

 

その原則に従って、1980年代より、中国の海洋調査船により、第一列島線区域において、海底の地形や水温などの緻密な海洋調査が行われてきた。 

 

このことの背景としては海底資源調査だけでなく、海底地形や海水温分布、海水密度分布などのデーターの蓄積が(機雷戦を含む)潜水艦戦を有利に進めるために必須なこととも密接に結びついていると考えられている。

 

 

 

こうした流れの中で発生した2004年の漢級原子力潜水艦領海侵犯事件では、領海侵犯前に浮上航行を行って海上保安庁に写真を撮影され、領海侵犯後は日本の海上自衛隊の対潜哨戒機及び護衛艦にその行動を常に追跡され続けるという、1968-1972年設計の習作原子力潜水艦で、騒音対策が古い(140〜150デシベル)にしても錬度を疑われる失態を演じた。

 

後にアメリカのロサンゼルス級原子力潜水艦によって、出航から帰港までを完全に追跡されていたことが明らかになり、同級原子力潜水艦の設計の古さと戦闘能力の低さを裏付ける結果となった。

 

 

ただし中国海軍は原子力潜水艦部隊を含めた戦力の拡充に対する意欲を未だ失っておらず、漢級原子力潜水艦領海侵犯事件時点では既に米ロサンゼルス級後期型、ロシアヴィクターIII級同等といわれる後継艦の商型が海上試験にはいっていたし、フランクアレイ・無反響タイル付の潜水艦だけでもキロ型11隻、元型2隻、宋型10隻(日本はおやしお型9隻。はるしお型には付いていない)なので、人民解放軍海軍の錬度がどうなのかは疑問だが、中国に於いてさえ1960年代末に設計された艦を探知したからといって油断できる状況ではなく、同海軍が今後日本に対する脅威に発展する可能性は十分にあるといえる。

 

 

中国海軍は、2005年に「鄭和航海600年」を記念して、『500カイリ制海圏』構想を発表した。

 

 

中国の中学校歴史教科書には、かつて朝貢貿易を行っていた地域(シンガポールからインドシナ半島全域、タイ、ネパール、朝鮮半島、琉球など広大な地域)は、「清の版図でありながら列強に奪われた中国固有の領土である」と明記されており、中国では、これらの地域を本来の国境とは別の「戦略的辺疆」と呼んでいる。

 

中国政府が東シナ海ガス田問題等の国際問題で発言する「争いのない中国近海」とは、「戦略的辺疆」の内側海域を指しており、中国固有の領土であるこの地域の安全保障・海洋権益は、中国の手により保全すべきというのが、中国の考えである。第一列島線とは、まさに「戦略的辺疆」のラインである。

 

しかし中国海軍の艦艇建造状況の遅延もあり、第一列島線を2010年までに完成させることはできなかった。