「裁判員バッジ」は「守秘義務」消滅の一里塚か? | 回廊を行く――重複障害者の生活と意見

「裁判員バッジ」は「守秘義務」消滅の一里塚か?

回廊を行く――重複障害者の生活と意見-裁判官バッジ3「裁判員バッジ」のデザイン

最高裁は「裁判員バッジ」の試作品を公開 したそうです。裁判員を務めた人への感謝をかたちで伝えようと製作したといいますが、「1個160円也」とあるところを見ると、しっかり代金は受け取るのかと思ったら、さすがに判決後にプレゼントされるものらしく、金額は原価のようです。

裁判員制度広報のための懇談会 で司法教習生のつけるバッジのことが話題になっていますが、考えてみると裁判官、検事、弁護士とそれぞれ独自のバッジをつけていますから、私服の裁判員にも何かと考えても不思議はありません。ただそれを裁判員として裁判に参加しているときでなく、その任務終了後に手にできるというのは最高裁の見識なのでしょう。

しかし、裁判員であったことを不特定多数の人に知らせることは裁判員の守秘義務に入っていなかったでしょうか? 裁判員バッジとそのデザインが報道されたのですから、そのバッジを着用している人を見れば、その人は裁判員経験者であることがわかります。家族とか勤め先の人でなく、例えば電車の中でもわかるわけです。電車での同乗者などを不特定多数というのだと思いますが、裁判後の裁判員の身の安全を考えての守秘義務だったはずですが、その辺どういう理屈で折り合いをつけるのか、是非知りたいものです。

それに、裁判員バッジによって裁判員経験者であることがわかれば、その裁判での経験を聞きたがる人がいるのは当然でしょう。良心的裁判員経験者としては評議の内容などは話さないようにするでしょうが、世の中には聞き方のうまい人がおり、全国規模で言えば相当数の評議内容が洩れる可能性があります。裁判員経験者が厳格に守秘義務を守るかどうかはもとより保証できませんし、一応の心得があっても聞きただされる端緒ができれば、ついしゃべってしまうことも多くなるでしょう。

裁判後の裁判員の身の安全という考えは、不利な判決を下された被告の関係者が裁判員を逆恨みするというようなことを考えたのでしょうが、これに関していくらなんでも裁判員経験者であるというだけでは襲ってこないだろうと楽観視している人もいるのでしょう。しかしバッジの裏面に5桁の番号が刻んであり、これは同一の番号はないということです。番号がランダムになっていればいいのですが、何番から何番までは○○地裁というようにあらかじめ配布してあれば、裁判員バッジが人手に渡った時に、担当した裁判がわかるという可能性はないでしょうか? そういえば試作品の写真には地裁名が刻まれているのもある ようです。大丈夫なのでしょうか? 番号等について詳しい仕組みはわからないのですが、いずれは刑事物のテレビドラマなどで、こういうことを下地にしたストーリーを見られるのではないかと思います。

バッジに刻んだ5桁の番号といえば、冒頭に引用した記事に「最高裁は『貴重な経験の記念。できればネットオークションに出したりせず、長く手元に置いてもらいたい』と話す。」ともありました。続き番号といえば紙幣で12345といったものや、あるいは33333といった「ゾロメ」のものに高い価格がつくことが知られています。最高裁も日銀の向うを張ってお宝戦線に参入というのは冗談としても、最高裁の方から「ネットオークション」の言葉が出たのが本当であれば、隠すより顕われるのかもしれません。

しかし想像をたくましくすれば、裁判員としての体験に対してに課された守秘義務を一生守るということは、誰が考えても無理な相談ですので、そういう事例があっても罰金や懲役を科することは非現実であるので立件は避けることになるのではないかと思われます。裁判員バッジの存在は守秘義務の根幹を揺るがすものですから、守秘義務を済し崩しに無意味なものとしていくことを示す、サインとしての意味があるのではないかとも考えられます。

裁判員制度について知れば知るほど、無理が多くて配慮が少ないことを感じるのですが、小さなこととはいえ、裁判員バッジはその最たるものの一つです。

☆バッジ集め アイテムはまず 800番


  人気blogランキングへ
↑↑<クリックお願いします>↑↑