ゴ・ガクホウに『セイシちゃんの両親探しは任せて!』と豪語したハンキャスター。彼女はなぜにそんなにも自信たっぷりの様子なのか?
実はハンキャスターが司会をつとめるテレビ番組は、これまで視聴者の様々な悩みや問題を解決してきた実績があり、なんと逃亡中の犯人を説得して自首させた経歴まであるのだという。そのハンキャスターがセイシちゃんの両親探しに一肌脱いだというわけなのだ。
そしてハンキャスターは養父母のマーチン夫妻がセイシちゃんを引き取った経緯を知ることになる。
━━ときは1996年、アメリカ北東部に住むマーチン夫妻。夫は企業の重役に出世するなど収入は安定。ふたりの息子にも恵まれ幸せな家庭を築いていた。しいて望みをあげるなら娘がほしいことくらい。
そんなある日、マーチン夫人の妹が中国人の婚約者を連れてやってきたときのことだった。
「姉さん、娘がほしいなんて贅沢な悩みよ」
マーチン夫人はつぶやく。
「そうかしら……」
そんな姉に妹が中国の現実を教える。
「中国にはかわいそうに人たちがたくさんいるのよ、ねえ?」
彼女にうながされた婚約者の中国人男性が、マーチン夫妻を見つめながら返答する。
「中国では国の一人っ子政策によって孤児が増えているんです」
一人っ子政策とは人口増加を抑制する目的ではじめられたもので、国際社会から人権無視との批判を浴びせられながらも中国政府が強力に推し進めてきたものだ。もしもふたり目の子供をつくろうものなら高額の税金が課せられ、住居や教育の面でハンデを背負わされるという。中には罰金を払わせる自治体もあり、払えない場合は孤児院に預けるしかないという。
そんな中国の実情に怒りをあらわにするマーチン夫。
「そんな状況が放置されていていいのか?子供たちにはなんの罪もないんだ!」
マーチン夫人は妹の婚約者にたずねる。
「捨てられた子供はどうやって生きていくんです?」
「孤児院で暮らすしかありません。運が良ければ養子として引き取られることもありますが……」
養子━━この言葉を耳にしたマーチン夫妻は強烈な衝撃に襲われる。
その半年後、マーチン夫妻は中国におもむいていた。理由は無論、孤児を養子にするために。
そしてたどり着いた孤児院でひとりの女の子と出会う。それが生後1年のセイシちゃんだったのだ。