いつも遠目に見ていただいていた庭のフォーカルポイント、
こだわり特注の水場を今日はアップで。
石積みの部分には、ポケットを6個もうけています。
ワイルドストロベリーを植え込み、石垣イチゴ~。
水を落とす部分は、素焼きの鉢に白い玉石を入れています。
さて、今日は虫愛づる姫君のお話をしようと思います。
『虫愛づる姫君』は、平安時代の『堤中納言物語』の中の一篇。
年頃としての身だしなみもせず、
朝夕、毛虫などばかりを好んで飼う異常な性格の姫君のお話ですね。
いえ、古典を論じようというのではありません。
いつも、虫は敵だ!と、のたもうている園主が、何故か今日は
目の前にいるバラゾウムシを潰しもせず、
何時間もカメラ片手に、じっと見つめているものですからね、
てっきり、「虫愛づる姫君」に心変わりされたのかと・・・・・・・。
そしたら、なんだか今日一日だけの限定だというのですよ。
バラゾウムシに敬意を表して!
(えっ、大丈夫? 熱はない?)
体長わずか3・4mmの虫が作る 虫のゆりかご
作る過程を皆さんは見たことがありますか?
今日は、その過程を追って粘ること3時間。写真を撮りました。
バラの茎に止まっている。何しているの?
美味しい汁をたっぷりいただきました。
2つ並んだ黒い点、これが汁を吸った痕です。
茎の周りをぐるっと一周、
すると、ばらは、こんな風に。
おなかいっぱいになり、成熟したバラゾウはお相手探し。
惜しかった!
もうちょっとで撮れるところだったのに。
グラミスキャッスルの褥で、求愛中の2匹を発見。
2匹は、互いに近づいて・・・・・・。
"Oh, my honey."
"I love you."
"Kiss me, dear."
"I want you."
"Love me tender."
なんて会話を・・・・・・。多分していたのでしょう。
(想像逞しいおばさんは困ったものだ!)
でも、英語で書くと嫌らしくないから不思議ですね~。
ところがどっこい、大接近の2匹が突然離れました。
おばさんが、「それ、いけ。」と見つめるので、
”We are ashamed. ” と、恥ずかしくなってしまったのか、
”We wanna be free.” と、相性合わずに分かれたのか・・・・・・・・。
シャッターチャンスを狙っていたのに!
もうちょっとのところだったのに!
あああ、逃げられちゃった!!
めでたくご懐妊の♀は、産卵の準備です。
葉っぱの付け根近くにとまり、葉脈を残して両側を切り始めます。
(この1枚は、別の葉ですが、葉の付け根が切れているのが分かるでしょう)
次いで、葉の裏側に回り、何往復も往き来しながら葉脈に沿って噛むのです。
なぜって、葉っぱを2つにたたみやすくするために。
2つにたたみ終わると、葉の中に卵を産み付け、
葉の先の方から筒状にくるくると巻き出しました。
これでゆりかごの完成です。
出来たてのゆりかごを解いてみましたよ。
右下の開いた葉っぱの先の方に、生み立ての小さな卵が2つ見えますか?
上の連続の写真は、ナニワノイバラでの産卵でした。
デインティベスの葉での写真も紹介しましょう。
この後、この虫たちはどうしたかって?
そりゃあ、昇天しましたよ。決まってるでしょう!
おや、1日限りじゃないですね。
たった3時間限定ですか、虫愛づるおばさんでいたのは。
でもね、この小さな虫のどこに、
こんな凄い記憶が書き込まれているのでしょうね。
遺伝子に組み込まれた不思議。
完成したゆりかごの造形美に敬意を表したいとは、思います。