ガリベン君と二人組にされた私。



ガリベン君は、


「一人で食うの寂しいから、一緒に食おうぜ」


と言うのであった。

向こうもヘンな意味はないのだろうが、

寂しい、っていったい。


もちろん、オゴリなどではないですよ?

自分のぶんは自分で払います。




私は、寂しくはないのですが!

ていうかむしろ四六時中あなたと一緒なので、

食事くらい一人でとりたいのですが!




…と言いたいのだが、言えない。声なき叫び…。




それで付き合うと、

ガリベン君の話題といえば合コンのことばかりなのであった。



「愛想がよかったから脈があると思ってTELきいて

後日かけたのに、いつも出ない。

居留守を使われた。性格の悪い女だ」



などと…

私が見ず知らずの女性への不満がえんえんと…



私…合コンいったこともないし興味もありまっしぇん!


う~ん、それはきみのことが嫌いだけど、

合コンであからさまにするのは野暮なので、

今消極的に断られているんじゃないのかな?


と思うけど言えないし言わない私。



話題を変えようにも、彼と私の間に共通の趣味はないのだった。

私は漫画だし。彼はアイドルと鉄道だし。



ここで思ったことを私ががつっと言えれば、ガリベン君との関係も

変わっただろうに…。



ガリベン君はすごく勉強が出来て、

順風満帆で人生を歩んできたのか

自分の意志が通らないという状況にあったことがないようだった。


だから、彼の希望を断ると、彼はとても驚き、傷付いたそぶりになる

のだった。


あ、ちなみに遠距離恋愛彼氏がいるよ!ということは私、

クラスじゅうに明言してありました。大事ですから。



そして花見の季節、

ガリベン君が花見に行こうぜというのだった。



…ポリクリで長時間二人きりでいるのに、たまの貴重な

休日までもあなたといたくないのです



NOと言えない私にも、忍耐の限界つうのがあります。

なんとしても断らねば。


そこで、


「●ちゃんとか、◎ちゃんみたいなあなたとよくしゃべってる

気の合う人(同級生)とお花見に行ったらいいじゃない」


と、代替案を提示して断ると、彼は


「いやだ!もっと女らしい人と行きたい」


と私を誘うのだった。


◎ちゃんや●ちゃんは、自己主張のはっきりした自立した女性。

女らしいって、NOと言えないことなのか、そうなのか?



ここは断らないと忍耐の限界、私も勇気をふりしぼって


「彼氏がいるのに、他の男性とお花見になんて行けません」


と断った。すると彼は、


「はっ!彼氏がいる女って、付き合い悪いよなっ!」


と言って立ち去った。



ととと当然でしょ~!

彼氏がいるってそうゆうことでしょお!!


学校から二人組にされたけれど、プライベートだけは守りたい。



ガリベン君は人恋しいのか、

「レポートも一緒に書こう」

と言いだした。



え?なんで…。


「一緒に書いた方が効率がいいじゃん。

Jのアパート大学から近いんでしょ。

なんなら、おれがJのうちに行ってもいいし」



…百歩ゆずって家に親がいる自宅生ならまだしも、

付き合ってもいない男子学生と下宿で二人きりになる

気はありません。私がゴメンです。




一緒にレポートをやりたい!

だからおまえのうちに行く!

うちに入らせないというのなら、

仕方ない大学でやるから

おまえんちのワープロを持ってこい。



と押し切られ、下宿から学生自習室までワープロを持参

するはめになった私…


なんで断れなかったんですかねえ。


「私はひとりでレポートやりたいから」


それで済んだはずなのに。当時の私のバカ。


家に入らせるくらいなら、大学で一緒にレポートやる方が

ましだと思ったのでしょうが…。



当時はまだ、ノートPCなどは一部の金持ちの持ちモノで、

私は携帯用ではないドでかいワープロ(クソ重)をえっちらおっちら

下宿から大学に運んだ…とんだおひとよしもあったものです。


当時の自分の気持ちがよくわからない。


たぶん、親に仕込まれたせいもあるけど人に「NO」「イヤ」という

コマンドが、無かったんだと思う自分の中に。



私が気弱なせいと、彼の天真爛漫さ(?)ゆえに、事態は悪化

してゆく…。(あとちょっとだけつづく)

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今日はシリアスタッチで、苦い思い出を書く…。

実在の誰かを攻撃しようという意図ではない。

ただ、こんなことがかつてあったという記録である…。



医学部では、ポリクリは6人班でまわり、その中でさらに

3人ずつの小班に分かれて実習するのであるが、

名字が50音の終わりの方だったこともあり、

人数が足らず班員5人、そして3-2に分かれたのであった。


女子2人男子3人の班であったが、その中にガリベン君がいた。



ガリベン君は、勉強が好きで好きで仕方ない人であった。


当時の私は「親との闘い」に書いたとおりの、

「NO」の言えない子


私とガリベン君は、名字の五十音順で隣り合っていたために

1年半以上にもわたる病棟・外来実習を二人組でまわることに。



女子が二人いるんだから、男-女で分ければいいのに…

とは思ったが、なにしろNOも言えないし思うことも言えない自分。



5人班で好きなように分かれて、というときもあったが、

なぜか、班を自由に分けよと先生にいわれた瞬間、

私とガリベン君以外の3人が、驚くべき速さでサッとまとまって

しまい、いつも私と彼が二人組になってしまうのだった。




そして二人組になってみて、なぜガリベン君が避けられていたのか

わかった。



事実のみを簡潔に記すと、彼は完璧主義だったのである。




だから採血でも、一度刺してとれなかったらひたすら

グリグリと針先で血管を探り続ける。


彼の練習相手であるところの私は、迷走神経反射を引き起こし

徐脈で倒れてしまったり…。



彼は内科志望だったが、

他科の手技も学生のうちに全て身につけたいと熱望していて、

それを私相手に練習するのだった。



志は立派なのだが、常につきあわされる私は苦痛であった。



うまくいかないと彼は理想と違う自分にいらだち、

そのいらだちが練習相手である私に向くからである。




たとえば、眼科の時は光学機器で比喩でなく1時間以上も

網膜・眼底をのぞかれて(他の班員は5分ほどでやめて帰宅)、

学校の帰りには、目の前がチカチカ光って見えないくらいになった。



その後、眼科の診察器具も使い方によっては光で目を痛める

ことを知り、憂鬱になったものである…。




私も親に逆らえない奴隷体質で育てられているので、

いやと言えない。


「他のひととやって」


その一言が言えない。どうしても言えない。



かつて解剖の時、私が心身症で休みまくり迷惑をかけたという

負い目があった。普通に考えれば解剖は解剖、

ポリクリはポリクリで別なものなのだから彼の自主練習に私が

付き合う義理なんて無いのである。




なのに私は、

常に自分が悪いんだという認知のゆがみがあったので、

おわびに彼の言うことはきいてあげなくてはという思いにとらわれていた。


そのうち、


カルテをいっしょに二人で読もう


と言われ始めた。

NOと言えない自分なので、諾々と従うのだがこれが実に

効率が悪かった。



読む速度が違う二人が共に読むのは、一方に負担を強いる

ことになる。私は速読な方なので、隣で彼の息づかいを感じながら

カルテを読むというのがいやでたまらなかった。




だから次の日からは、

ガリベン君がカルテを一緒に見ようぜと言っても

黙ってうつむいて彼を避けた。

ガリベン君は怒って

カルテをドスン!と音をたててラックに入れたりして

私はそれが、粗野な父親にだぶってびくびくしていた。



そして、ポリクリの実習中はずっと二人きりということもあり

よく食事に誘われた。




(暗いけどつづきます)

採血じまんばなし?

テーマ:

気が弱くて自己主張がヘタで、声が小さくて身体も弱い…

研修医としていいとこナシな私でも、

採血だけは自信があった。


自信があると言っても同期の中では、という程度で

ベテランナースの神業には脱帽であったのだけど。






ここからちょっと可哀想な描写があります。

動物好きの方はご注意くださいませ…



動物超好き!な私は、医学部の動物実習がとてもつらかった。

あるとき、命をとるわけではないのだが、



学生時代ウサギの耳から採血する実習があった。


時間ごとに成分をみるため、何度も採血しなければならない。


最初、班のみながひととおり採血したら、あとは役割を

分担するということになった。



ヘタレな私はウサギに針を刺すことが苦痛で、

可哀想さに自分の心が痛むのがいやで、

自分可愛さに一度だけ採血済ませると記録係に徹していた。



しばし順調に進んでいた実習だが、新たな記録が渡されてこない。

どうしたのかと採血場に行くと、



ウサギの両耳、針を刺し尽くしてしまったのだという。


一度針を刺したところから下流はつぶれてしまって使えない

ので、上流へと進むうちにほとんど使ってしまったのだった。


そして、一箇所だけ…


片方の耳の根本の3,4mmほどの部分だけ、まだ針を刺す

余地があった。


やってくれ、と言われたのでやるしかない。


このウサギで失敗したら実験は最初からやり直しなので

覚悟を決めて…一発でとれた。


つつがなく実習は終了したのだが、

最初から私が採血係になっておけばこんなにウサを

傷めずにすんだのに…と後悔した出来事だった。

でも、それじゃ他のひとの練習にならないのか…?



採血だけは自信を深めてポリクリへ。


外来&病棟実習である。

患者さんの採血なども上級医の指導のもと、させていただく。



泌尿器科をまわっていたころのことである。



教授外来の見学をしていたとき。



ある病で、K大OBの●◎先生が

患者さんとして来院された。



すると当時の泌尿器科教授が…



「J先生、採血して」



と、私にオーダー。


はい!と私は駆血帯、アルコール綿、カット綿と

注射器一式が入ったトレイを準備し、駆血帯…

(採血の時、腕をしばるゴム管のようなものです)

で患者さんの腕をくくっていたところ、


教授がぽつりと一言。




「きみは知らないだろうけど、

●◎先生はすごいえらい先生なんだよ。

きみに●◎先生の採血が出来るかな?」



ぐっ、と一時停止する私。


学生にぷ、プレッシャーをかけるなんて。


教授、いじわる~!!


なんの、私はウサ耳から採血出来た女よ。

えらい先生であってもとれないはずはない!



そして一発で取りました。

幸いなことに●◎先生は太くすこやかな血管の持ち主で

あらせられたのであります…。




と、とれて良かった…。

ただでさえ緊張しやすい医学生を、おどかさなくても…

しかし、あれが教授なりの愛のムチだったのかも、しれません。




今日は珍しく自慢話でありました…☆

bana02