「拾質」
自己肯定感が低い僕は、他人に完璧を求めていたのだろう憧れの対象を無数に作り出し、僕との間にボーダーラインを引き、痛みの伴わない程度に緩くまいた鎖に身をあずけ誘惑にひれ伏していた、そこに居れば、いい加減でも許しされる気がしていたんだよ君のことも、自分の事もお「、、、と思うんだよねー」さ「ふん、、、」お「ねー、、」さ「、、、」お「、、、」さ「え?終わり?」お「ん?聞いてたの?」さ「ん?うん、、ごめん聞き流してた!笑 でも聞いてるよ!私に言ってたんじゃないの?」お「途中から独り言になってた!」さ「なんで?」お「えー、聞いてない感じだったし、 聞いてほしい話でもなかったしなぁー」さ「お?なら聞いてほしい話をしてよ」お「お?そうあらたまられると思いつかないよなぁ」さ「でたー!笑 自分の事あまり話さない系男子!」お「自分の事よくわからない系男子だよ」さ「自分の事わかりたくない系男子でしょ?」お「痛いとこ突かれた系男子だわー!」時々ふと頭をよぎる事がある僕は誰と話しているのだろうと空気で埋め尽くされた状態部屋の壁に視線を移す時計の針が話しかけてくる壁、無意識、逃避さきっちょは水槽の魚を眺めるように小さく笑う静かに、純粋に、僕の頭の中はただ真っ白になる途切れた会話を立て直すか新しい話題を振るかテンプレートな思考を敷き「えぇーと、、、」と、考えてる人アピールをするさ「ねぇねぇ!なんも考えてないでしょ?」お「!、、、あれ?ばれた?」さ「やっぱりねー、笑」お「ねー」さ「なんかあるんでしょ?」特にこれといって思いつかないだいぶ前に思ったけど、しまい込んだものを強引に引っ張り出すお「うーん、、嫌われたくないが今めっちゃでかくてしんどいかも!」さ「お!それ感じちゃってる?今更感!おもしろ!笑」お「今じゃないけど今というか、、」さ「あー、もうみんな言ってるやつじゃん、笑、 感じた時に出さないと、たまりにたまっていくうえに 賞味期限切れて、片付ける時、余計しんどくなるって」お「え?下ネタ?」さきっちょの呆れた顔を確認する前に目には見えない速さの右が、僕の二の腕を的確にとらえるお「あはは、、」さ「誤魔化すの無しね、ふふ」それはどこか不敵な笑みに見えたお「こわっ!笑」さ「さぁ!笑、吐きだしちゃいなYO!」お「わ、かった、、」数秒の沈黙が体感で数十分それに焦りや何やらを感じているのは僕だけでさきっちょは勝利を確信し玉座に構える王のような雰囲気だ最初から負け戦沈黙がハードルをあげていく一体なんの戦いであり、なんのハードルかその疑問すらも、焦りの一部に過ぎないのだお「、、疲れてるのかも、なんか、、色々?」精一杯の平然精一杯の明るさ精一杯の無難さ「そうでしょうね!笑、いまのおきゃめっちゃ小さい感じだもんね」さきっちょはやはり勝利を確信しているようだった深く息を吐き、絶妙な声のトーンで言ったお「え?わかるの?」さ「なんとなくだよ!なんかパァーッてなってた時を見てるしね!」お「たしかにおきゃぱーって呼ばれてたなー」さ「じゃなくて!笑、でも確かにそんくらいの時、笑 それと比べるとなんか違うなーって思って」お「それはね、僕も思うよ、笑」さ「そんな感じなんだね、おきゃが前に言ってた、 思考停止状態って!」お「あー、あれね、人形みたいになっちゃうやつね! そこまでじゃない気もするけど(ボソッ」さ「なんかやっと見れたって思って、ちょっと観察してたよ」お「ええ??笑」さ「だっていつも1人でどうにかしてるじゃん!」お「どうにかできてるかわかんないけどね、笑」さ「そう?」お「どうにかできるという事にしてる感」さ「めんどくせぇー、笑」お「つらぁー、笑」無理やり笑った感じだった僕の無意識の拒みをお互いが感じてしまったようだった統計を取ると、きっとこう出るんじゃないだろうか「お腹は静寂時に鳴る」お「あ、、恥ずかしい、泣きてー、笑」さ「泣け泣け!泣ける時は泣け、笑」お「、、、そうするわー」僕はすっと立ち上がって、お腹の虫にちょびっと感謝しながらトイレに向かったドアを閉じてマットに座る、閉じた蓋の便器カバーに頬を沈めた泣く準備を整えると泣けないのなんだろうそんな事をぐるぐる考えているとトイレットペーパーと目が合うお「君はすごいね、ぐるぐるしてるのに、いつも新しい自分だもんね」ト「、、、、、」お「、、、、、、、、」お「僕は同じとこぐるぐるするだけで、なんも変わってないんだよなー」と「、、、、、、、、、、、、、、」トイレットペーパーは答えないきっとトイレットペーパーにとって、同じところぐるぐるするという概念はないんのだろう、あたりまえな気もするけど、ちょっとぼぉ~っとしてトイレを出たさきっちょが台所で何やら作業をしていてさ「オムライス作るよ!面白いこと思いついたんだ!」お「手伝うー」さ「お皿そこ置いといてー、あとはテレビでも観てていいよ」言われるがままテレビをつけた気にしているのはさきっちょの事で、そっちの方を眺めてしまう時折目があったので、すぐにそらしたりしたさきっちょが出来上がったオムライスを持ってくるさ「できたよ!泣いてるオムライスだよ!」少し不恰好な大きい瞳から、大粒の涙が添えてあったさ「今日はみんなで泣こうデイだよ!あはは!」僕は結局泣けなかったことは言わずさきっちょもそこには触れずただ二人でオムライスを食べた