つい先日放送されたNHKのドキュメンタリーで

「絶景 巨大石柱林〜中国・張家界を鳥観する〜」という番組を(例によって後追いで)見たのですが、

まあ、地球にはいろいろな奇景奇観があるものですなあ。


紹介されていたのは中国・湖南省にある張家界市。

太古に海底が隆起してできた石英砂岩の大地が浸食・風化を繰り返してきた結果、

何千もの石柱が立ち並ぶ形となっていったそうでありますよ。


ひとつひとつの石柱の高さは優に100m超えと言いますから、

全くもって奇異な景観ではありましょう。

南米のテーブルマウンテンのどっしり感もすごいですが、

張家界の方はニードルマウンテンが立ち並ぶ印象で、これもまたすごいものだと。


そしてまた、こりゃすごいと思いますのは、

この石柱群には昔から少数民族が住んでいるという点でありましょうか。

石柱の頂上は至って狭く、平らな土地などわずかばかりなのですが、

そのわずかなところを切り拓き、田畑を営んでいる。


外界(下界)との関わりを急な山道と都度登り降りしなくてはならない。

それも場所によって道が拓かれたのは2年ほど前でそれまでは

長い木のはしごを攀じて行き来していたというのですね。

しかも、時には50キロものに荷を背負ってのこともあったとなれば、

さぞ不安定なことであったでしょう。


そうした暮らしのことを村人に尋ねてみれば、

「ここでは自給自足ができます」と何の惑いもなくきっぱりと。

まさに「足るを知る」人々であって、山川水墨のような世界であることからも

ここの人たちは仙人でもあらんかと思ったのでありますよ。


そもそも張家界という地名の起こりからして、漢の高祖劉邦に仕えた軍師・張良が

国を興して後に部下の裏切りを心配するあまり粛清に走った劉邦の下を逃れ、

たどり着いて仙人となった場所だということなのですよね。


そんな張家界ですけれど、石柱群を眺めやる入口にも当たるのが

「天門洞」と呼ばれる奇景の場所。岩山に大きな楕円の穴が穿たれて向こう側の覗けるという。

しかも、霧が発生したときなどはこの穴を通り抜けて霧が流れ出してくるというのですから、

観光客が押し寄せるのも無理はないところかと(世界自然遺産でもあるようですし)。

もっとも、霧の出現にでくわす可能性はオーロラを見られるかどうかよりも低いようですが。


とまあ、そんな奇観を見たいものだとはつい思わせられるところではありますが、

当たりを見て歩くために設けられた「鬼谷桟道」なる遊歩道を見て、「こりゃあ、だめだ…」と。

何しろ岩の断崖絶壁の途中に桟道部分だけを固定して取り付けてある。


つまり桟道の下にはところどころに支えがしてあるだけで、

要するに空中にあるような状態なのでありますよ。

何せ「高所不安症」(勝手な造語です)だものですから。


と、本来は張家界の話を枕にして、「高所恐怖症」とはちと異なると思われる

「高所不安症」なる造語の意味合いを披瀝申し上げようと思って書き始めたですが、

長くきましたので、「高所不安症」のお話はまたいずれかの機会にということで…。


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