近隣の立川市内で「立川体験スタンプラリー」なるイベントがあると聞き及び、
お天気もよろしいことから出かけてみたのでありますよ。
JR立川駅から北へちょいと離れた一帯に広い再開発エリアがありまして、
かつては米軍基地としても使用されたところが今では立川広域防災基地と呼ばれて、
結局昔も今も「基地か…」と思ったりするのですが、防災基地というだけに
内閣府、東京都それぞれの防災関連施設、消防庁、警視庁、陸上自衛隊、海上保安庁、
さらに病院、赤十字施設といった建物がものものしく?並んでいるという。
ですが、それでも敷地は余るものですから、およそ防災とは関わりないような施設も数多あり、
たまに展示を見に行く国文学研究資料館 などもそのひとつなわけです。
で、このほどのスタンプラリーでは、
国文学研究資料館のように部外者がふらりと立ち寄れる施設でないところでも
イベント企画でみなさまをお出迎え状態にあるということでありました。
まず差し当たってお目当てのひとつとして立ち寄りましたのは、
「大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所」。
いやあ、正式名称はものものしいですなあ。
先の国文学研究資料館と同じ建物にありますが、普段は関係者オンリーのようす。
予て見学会などはないものか…と思っていたものですから、渡りに船と出かけたですが、
やはりガードは堅かったというべきか、イベントは入口前のスペースで行われておりました。
子供でも楽しめるようにと「白玉・黒玉 数当てに挑戦!!」なるゲームが行われており、
せっかくですから参加してみたのですね。
BB弾の白玉と黒玉が取り混ぜて10万個入っている大きな水槽。
ここから300個の玉をすくい出して、黒玉が何個だったかを数える…のですが、
実際に参加者が数えるではなくして、機械がセンサーで白黒を見分けて数を出すという。
ようするにサンプリング調査ですけれど、参加者が多ければ多いほど
300個中のいくつが黒玉であったかの傾向が見てとれるわけですね。
種明かしをすると全部で10万個のうち25,000個が黒玉、つまり混入率は25%。
ということは300個に対して75個の黒玉が入っているのが平均的なわけですなあ。
ところが参加したその段階では、80~85個程度という結果を出した参加者が多かったようす。
係の方曰く「もう少し少ないところに偏りの山がくるはずなんですが…」ということでしたけれど、
これはおそらく人間の(要らぬ)心理が働いているのではと想像しますね。
つまり、水槽から玉をすくう際、明らかに混入率の少ない黒玉を
何とはなし多めにすくおうてな心理が働いてしまうのではないかと。
もちろん黒が多かったとして賞品があるわけでないですが(笑)。
こうした人間心理は統計には無関係の要素ながら、侮れない部分でもあろうかと。
と、ひとしきりゲームに勤しんだ後に向かいましたのは、これまた長い正式名称の
「大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立国語研究所」でありました。
こちらも普段ふらりと入れはしない施設ですが、
今回のイベントがらみで「ことば」展示なるものをやってたのですね。
これまた小ぢんまりした展示でしたけれど、それなりに面白いものでありましたよ。
先日のNHK「歴史秘話ヒストリア」では明治に標準語を作り出す話が紹介されてましたが、
それでも(当然に?)残る言葉の地域差、簡単にいえば方言となりましょうけれど、
これに関するあたりのことは興味深かったと言いますか。
例えば「おにぎり」と「おむすび」という言葉。
同じものを指しているわけで、個人的には(おむすび頻度は少ないものの)どちらも使う。
ですが、どうやら「おむすび」とは西日本ではほとんど使われない言葉だそうですね。
さらに東京方言(こういうのがあってもおかしくないわけですが)として
近年広がりを見せていると記してあったのが「バナナムシ」という虫の呼び名です。
正式名称ツマグロオオヨコバイと聞けば、「ああ、そんな名前だったな」と思うその虫は
よおく見かけるものですけれど、それが「バナナムシ」と呼ばれている事実は全く知らなかった。
どうやら東京発祥の東京方言と言ってもいいらしいのですよ。
知らなかったといえばもはや何それ?と言われてしまいそうな「ら抜き言葉」。
これに関する展示で「ら抜き言葉」と対置して「れ足す言葉」というのがありました。
「明日、行ける?」が「明日、行けれる?」みたいな言い方のことですが、
それを指して「れ足す言葉」というのですなあ。
とまあ、それぞれ「ほお」とか「ふ~ん」とか思いつつ見て回ったですが、
肝心な?スタンプラリーはといえば、統計数理研究所と国語研究所でスタンプひとつずつ、
これに以前覗いた国文学研究資料館と南極・北極科学館 の方はさらに流して、計4つ。
これで「福島県いわきの干物セット」が届くのを待つところながら、
当然に抽選ですので「とらぬたぬきの皮算用」以外の何物でもないのですけれど…。