とまあ、奈良井宿 の話ばかりになってますが、おそらく老いた両親連れでなかったとしたら、
もそっと立ち寄るところもあってさらに長くなるところでもあろうかと。


欲を言えば鳥居峠 を歩き越して、

この先の宿場のひとつひとつを訪ねたいものだ…となるところですが、
この際は万止むを得ず7つほど宿場町を通り越して一気に南下、

目指すは妻籠宿に程近い今宵の宿でありました。


今日のところは移動、移動が続きましたので、

妻籠宿を訪ねるのは翌日回しにして、無理せずのんびり…というわけですけれど、

このときの泊まりは富貴畑高原温泉郷というところにある宿。
標高1,000m近い高さでの夕刻ながらもいささかむわっとした空気が残っているとは、
どれだけ暑い日だったのだろうと、日中の奈良井宿の暑さを思い返すのでありました。


で、何はともあれ汗を流そうと大浴場へ向かいましたけれど、浸かった瞬間に「!?」と。

以前、山梨県・勝沼 の「ぶどうの丘」にある天空の湯に浸かって
「なんじゃか、つるつるするの~」と思ったことがありましたですが、
こちらはさらにパワーアップして「ぬるぬるする…」と言ったほうが当たっているような。


かといって言葉から連想される気持ち悪さはもちろんありませんで、むしろ気持ち良い。

ですが、ぬるぬる感の不思議さにつられて体のあちらこちらをつるりぬるりと撫で回せば、
なおのこと「なんで?」という思いが湧いてくるのですなあ。


お湯そのものが元からぬるぬるしているようすはありませんので、
(桶から湯を流したときに糸を引くみたいなことはないですから)
おそらくは人体と何かしら反応することでぬるっと感が生ずるのでありましょう。


湯煙の向こうからは「体が融けているんだよ、きっと」という

誰かしらの言葉が漏れ聞こえてきたりしたですが、
体が融けてしまうとは穏やかではありませんし、また体が融けていっているとして、
こんなふうに滑らかなふうに感じるものだろうかとも思います。


モノが融けるという点ですぐに浮かぶのは酸性であることですが、
脱衣場の泉質分析を見てみますと「アルカリ単純硫黄冷鉱泉」と記してありました。
ちなみに先に触れた天空の湯の方は「高アルカリ性温泉」てな記載になってましたですね。


つうことは酸性ではなくてアルカリ性であることが、つるつるぬるぬるの元でもあるようす。
つるつるの湯をして「美人の湯」「美肌の湯」なんつう表現がされたりしますけれど、
「なんでつるつる?」に対しては「アルカリ性だからです」といった答えにならない答えが
もっともらしく書いてあったりするだけ。


で、ああでもないこうでもないと検索を重ねた結果として、
なんとなく納得できるかなという説明を極めて簡単にしてしまいますと、
皮脂(要するに油分ですな)とアルカリ性の温泉が反応して石鹸的な成分が生ずるからというもの。


石鹸の主な成分は油、水、苛性ソーダだそうですが、

苛性ソーダはすなわち水酸化ナトリウムで、リトマス試験紙を使った昔々の理科の実験では

アルカリ性の代表選手が水酸化ナトリウムではなかったかと思い出したり。


こうしてみると、アルカリ性の温泉が石鹸的成分を生ずるのに足りないものは油脂なわけで、

人体にある皮脂が湯に浸かると劇的な?!科学反応が起こって、

あたかも固まってはいない石鹸的なるものに体中が包まれるわけですなあ。

当然にその湯で顔を洗えば顔もまたつるつるぬるぬる感に包まれるという。


まあ、説明として事足りた言い方になっているかどうかはともかくも、
個人的には「そういうことであったか」と得心した気分にはなってしまいました。
それにしても、特に美人も美肌も目指すところはでありませんですが、

あのつるつるぬるぬる感は癖になりそうな(笑)。


ちなみにその後に宿泊した中津川温泉の湯もやはりつるつるぬるぬるでした。

木曽谷あたりはこういう泉質が多いのですかね…。

だとすると、木曽のあたりには滑らかお肌の美人が多いてなことになりましょうか…。


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