「事実は小説より奇なり」とはよく言われるところですけれど、

実話ベースで「ふ~ん」と思ってしまう映画がよおく作られていることは言わでもがなの事実かと。

で、このほど見た映画もどうやらその手のものであったようでありますね。


原題は「We Bought a Zoo」(これがなぜか日本では「幸せへのキセキ」となるのですが…)、

とある家族が動物園を買ってしまったという話でありました。


幸せへのキセキ [DVD]/マット・デイモン,スカーレット・ヨハンソン,トーマス・ヘイデン・チャーチ


予備知識は無く「まさか実話ベース?」と思ってみてましたですが、

これがイギリスで本当にあった話(映画での舞台はアメリカ)のようで。


いろいろあって心機一転、住まいを替えて再スタートをと考えたベンジャミン(マット・デイモン)が

広大な敷地の屋敷を気に入ったところが、これにはもれなく大変なおまけがついて来る。

閉園したものの、かつてのオーナーの遺産で動物たちはそのまま飼われている動物園という

大変なおまけなんですが、要するに家を買うというより動物園を買うようなもの。


心機一転の極みとも言うべき決意も新たに動物園のオーナーとなって、

居残りで動物の面倒を見ていた飼育員らと一緒に再開園を目指すのですなあ。


これがまあ結果的にはうまくいったから、実話の手記も書けたわけですし、映画にもなった。

新しいことへの挑戦で、文字通り「お話にならない」失敗話はおそらく世の中に山とあって、

こうした成功事例は(あれこれ映画になったりして、いろいろあるなあと思うものの)

ほんの一握りなのでありましょうね。


亡くなった妻を忘れられないベンジャミン、

やはり母を失った痛手から父に反抗する息子のディラン、

こうした家族の中の軋みがうまく収まっていくプロセスは

志賀直哉の「和解」くらいに?あっという間の出来事であってこの辺は「作ってんな」感あるも、

志賀先生が描いたように実際はほんとにちょっとしたことで修復できるのに、

双方がこじらせているだけなのかもと思ったり。


ともかくハッピーエンドで何より、何よりの映画ですけれど、

それにしても動物園とは素人が手出しするには相当に難しかろうなあと。

まだしも植物園の方が…と思いかけたところで、どうやらそうでもないかと思い直す。


と言いますのも、昨年、体験型農園での大量の収穫物にあずかって恩義のある向きから、

春の作付けのこのシーズンがちと大変なのでと手伝い要請の声掛かりがあったわけです。


出向いた先の体験型農園とやらは、

単に畑の土地を借りているというより小規模な農業指導のような感じで、

折に触れて世話の仕方などの講習会があるそうなんですな。


手伝うにあたっても講習会を聞けば、いちいち指示をしなくてもやれるだろうということもあり、

まずは畑の中のビニールハウスを会場にした講習会に出たという。


土を耕し、畝を作る。

この畝も植えるものの特性に応じた(農家が培った)最良の形があるのでしょう、

実に細かく行き届いた指示があるところはあたかも学校の実習のようでありますね。


肥料を入れる。

これもまた植えるものによって配分が違ったりしますし、

少なすぎては育ちにくい、多すぎても害虫を呼んだりしてしまうと。


種を播く。

地表から何センチくらいの穴を掘って、どのくらいの個数を播いていくかも経験則なのでしょう。

芽が出てからの育ち方もまちまちですから、やがて間引くことを前提にしており、

つうことは確実な収穫が得られるよう(もはや趣味というより、実益的)な実践指導でありました。


加えて、水を撒く、木酢液(有機農薬とでもいいますか)を撒く、寒冷紗を掛けるといった

一連の作業は、小さな区画ながらも、慣れない者には結構な労働になりますですねえ。


てなことを俄か仕事ながらも経験して考えてみますと、

決して植物園が動物園より手を出しやすいとは言えないなあと思えたわけでして。


すっかり話が余談と化してしまいましたが、とにもかくにも

幸せへの軌跡(この意味があっての「キセキ」かは分かりませんが)を描き出すというのは

何をするにせよ、大変なことであって、のほほんと日々を送っているものには

縁遠いことなのかもしれませんなあ…。


ブログランキング・にほんブログ村へ