たまたまですが、東京商工会議所が中小企業を顕彰する

「勇気ある経営大賞」という制度のことを知ったのですね。
「勇気ある」とは中小企業ならではの「あっと驚くチャレンジ精神」てなことでもありましょうか。


時折TVの「技monoがたり~匠たちの誇り」という番組で

(放送時間がはっきりしないので、運が良くないと見られない?)
取り上げられた中小企業(というよりも町工場だったりしますが…)のモノ作りのようすを

見ることがありますが、伝統の技を受け継いで守り通す頑なさもあれば、

その技術をひと捻りして「え?」というモノを仕立てる柔軟性もある。


ざっくり日本人といったときの個性というか、

手先の器用さというか(個人的には持ち合わせていないようですが)、
そんなあたりがモノ作りとマッチしているような気がしないでもない。
それにしても大したものだと思いますですよ、日本のモノ作りは。


で、「勇気ある経営大賞」のことですけれど、

昨秋に発表されたという直近の受賞企業を見てみますと、
すぐにはピンとこない技術系の内容だったりするところは(申し訳ないですが)措いておくとして、
「へ~」と思ったのが優秀賞を受賞している事例。


東京・武蔵村山市にある会社ですけれど、
株式会社東洋ボデーというトラックの荷台製造メーカーでして、この「ボデー」という社名が、
あたかも「三丁目の夕日」のような集団就職先といった雰囲気をまとった時代色を

かもしているではありませんか。創業1952年というのもぴたりとくるような。


元は大手トラック・メーカーの完全下請けであって、

受注は全てその業績次第てなものでもあったのでしょうけれど、
トラックが無くては荷台があるわけではないながら、

荷台作りの技術を極めていった結果として下請け脱出。
今や取引先は国内全てのトラックメーカーに拡大したという。


さらには「重さ200Kgの航空機タイヤをたった1人で簡単に交換可能」とした専用作業車を

世界で初めて独自開発、商圏は世界に広がりを見せているとか。


こんなことをやってみよう、あんなものを作ってみようという発想があれば、
大企業でなくてもできることがあるてなことを考えると、

それこそ「勇気ある」てなことかもしれませんですね。


それだけに元から人数の限られた職場でもあればこそ、

ひとりひとりの社員の力量が問われることにもなりましょう。


とかく就職活動の場においては、

どうしても二の次、三の次と見られてしまう中小企業ですけれど、
ひとりの力が大事なだけに独自に個性的な採用試験を実施し、

それが反って話題を呼んで…という場合もあるようです。


これもかつて「勇気ある経営大賞」での受賞歴がある企業のようですけれど、
三鷹にある光学機械メーカーでの採用試験の話。
もう何年も前から続いているようですので、すでにご存知の方はおいでなのかも。


この会社の採用試験は出題内容のユニークなことで定評がある(?)ようですが、
分けても油断を誘う昼休みの食事、これもまた試験の一貫であるのだそうで。


企業の方から提供される昼食におかずとして出されるのが焼き魚。
これの食し方を見極めるのだというのでありますよ。


そもそも箸の使い方が正しくないと上手に食べられない。
機器を正しく使って、かつ器用でないときれいに食べられない。
つまり精密機器のモノ作りの適性が試されているようです。


また、たくさん身を残すようでは探究心が足りない(ほじくれるところを突き詰めていない?)とか、
見極めポイントは多々あるようす。


こうした採用試験を考え出す「発想」こそこの企業のアドバンテージで、
その「発想」を支える人材を途切れなく採用していくことをも可能にしているではなかろうかと。


何事につけ、経営的な観点から(安易に)考えると大規模化によるスケールメリットに思い至って

そちらの方ばかりに向きがちでもあろうかと思いますが、

それなりの規模ならではできることを大事にしていくというのも、

実は必要なのではないですかね。


徐々に徐々に風前の灯となりつつある個人商店のことを考えるとき、
スケールメリットが置き去りにしてしまう部分を個人商店だからできるてな面もきっとあろうに…
とも思ったりもするのでありましたよ。