先日、文系頭 だから理数系の科目はどうも…みたいなことを書きましたけれど、
では文系科目なら万事OKかと言いますと、さにあらず。
古文ではかなり苦しんだ方でありますね(こうなると、得意なものがまるでないようです…)。


ですから、敬して近づかずの状態が長く続いて日本の古典文学(古典芸能なんかもですが)に
接近を試み始めたのは比較的最近のこと。


まあ、接近といってもおよそ原文で読むなどということもなく、
現代語訳であったり、はたまた漫画で読んだりというていたらくではありますが。


そんなふうなだけに、千代田区立千代田図書館でもって
「知ったらハマる古典文学~あの話ってこんなストーリーだったの!?」
てな企画展示をやっていると知り及んだものですから、ついでの折に覗いてみたのでありますよ。


展示「知ったらハマる古典文学 ~あの話ってこんなストーリーだったの!?」@千代田区立千代田図書館


予想はしつつも、拍子抜けするくらいに小規模な展示でしたけれど、
10枚のパネルを年代別に古代、平安時代、鎌倉~室町時代、江戸時代と分けて、
パネル1枚あたり1作品を紹介し、それぞれにクイズが1問ずつ出題されているという構成。


何でもこのクイズとやらは、日本文学検定(古典と近現代に科目が分かれている)のうちの
古典科目の3級から出されているとのこと。


では、この3級のレベルはといえば、同検定のHPに曰く
「上代から近世日本文学の一般的な知識を問う」ものであるそうな。


「一般的な」を字義通りに解釈すれば

「普通の人なら知っている」と読み替えられようかと思いますが、
果たしてこのクイズ、全10問のうち正解できたのはたったの2問でありますよ。くぁ~。


一応ちなみにですが、出題範囲として取り上げられていたのは次の10作品。


  • 古事記
  • 万葉集
  • 伊勢物語
  • 源氏物語
  • 方丈記
  • 小倉百人一首
  • 狂言「附子」
  • 好色一代男
  • おくのほそ道
  • 桜姫東文章

どうでしょう。
ほとんどタイトルは知っているものばかりと言えますが、
それらに関してどんな問題が出されても正解する自信のほどは?


もしかすると「そんなの知ってて当然!」との反応があるやもとは思いつつ、
その中の一問だけ、紹介してみるとしますですね。

問:伊勢物語で、主人公は鷹狩に訪れた先で美人姉妹を見初める。姉妹の気を引くため、歌を届ける時にした工夫とは?


①来ていた着物の裾を破ったものに歌を書いて送った
②自分の鷹に手紙をくわえさせて届けた
③花を添えて届けた
④家の外から直接歌いかけた

個人的には全く分かりませんでした。分からないというより、知らない。
かつて習ったこともないし、自分から伊勢物語に触れたこともないですから。


そこで、②は「鳩じゃないんだから」と却下し、③は「欧米か?!」ですし、
④は「シェイクスピア か?!」と外していくと①が残るわけで、
確かに①が正解なようですが、こんな推理を巡らして当たったところで
何の意味もありませんですよね。
要するに知らないわけで。


改めて伊勢物語で知ってることと言えば…と考えてみますと、
在原業平が東下りして、いろいろ歌を読んでるんだよなぁと。
ええっと、ええっと「きつつなれにし」とかいうのがあったやに…。


からころもきつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞおもふ

ま、これは後から調べて、そうだった!と思ったわけでして、
五七五七七の各句の頭を並べると「かきつはた」となり、
旅の途次、かきつばたがきれいに咲いているところで業平がこれを詠む…
ああ、古文でやった、やった!と…言うところまでは思い出しました。


今から考えると「業平くん、面白いこと、やってんじゃん!」と思い、
それなりに興味も出てくるわけですが、当時は中学生でしょうか、
全く興味の対象から外れていたのありましょう。


それから、どんどん歳を重ねて、何だかんだと頭に入っているようでありながら、
おいてけぼりをくらわした部分がたぁんと残っていることになりますね。
これが自分の国の文化に対する知識であって、

その希薄さ加減を目の当たりにしたといいますか。


考えてみると(ここでは自分のことは全く棚上げしますが)、
それぞれに個人差はあるものの、日本人ながら日本の文化や風俗・風習などなどを
外国人(つまりは日本の文化や風俗・風習をご存知ない方)にどれほど説明できるかと言うと、
心もとないと思う人がそれこそ「一般的」なのではなかろうかと。


まあ、今さらとは思いつつも、これもまた一つの気付きであって、
こうした古典の方面にも理解を深めてまいりたい…とまあ、そのように思う春の昼下がり。


時期が時期だけに散りゆく桜を眺めやりつつ、
「春のこころはのどけからまし」ですなぁなどと呟いたりするわけですが、
どうやらこれも「伊勢物語」でありましたですね…。