静岡ホビースクエア
ではプラモデル作りの懐かしさに浸ったわけですけれど、
そうしたプラモデル関係の展示コーナーとは別の一画では
「紙わざ大賞入賞作品展」という特別展が開催されていて、
ちと興味が湧いたものですから、こちらもちらりと覗いてみたのでありますよ。
(と、記事を挙げるのが遅いものですから、とうに会期は終了してますが…)
数えて23回目にもなるという「紙わざ大賞」が果たしてどんなものであるか?ですが、
「紙」を使用し、自由な発想での創作をテーマとした、ペーパーアートのコンペティション…
であるようです。
こうした「紙」へのこだわりということでは、
確か静岡県は製紙業との関わりもあったのではないかと思い付き、
後から調べてみましたら、静岡県としては印刷用紙の出荷額が日本一だそうで。
そして、製紙工場が多くあることで有名な富士市は
トイレットペーパーの生産量が日本一なのだとか。
富士市はかつて紙の生産そのもので日本一だったこともあるようですが、
今は工場の主力品目がトイレットペーパーになっているということなのでしょう。
何やら今回は静岡の日本一を巡る旅であるかのようにもなってきてますけれど、
こうした隠れたお国自慢(?)的なことは、どこにもいろいろとあるのですよね、きっと。
とまれ、紙との関わりのある静岡でもって「紙わざ大賞」の入賞作品展を見たわけが、
「よく、まあ、紙で作ったな」という作品の数々。
自由に撮影してよいとのことでしたので、ここで驚きのほどを思い返してみようかと。
まずは素朴さ薫る作品ということで、確かに新聞紙でかぶとを折る…てなことはするものの、
ここまで新聞紙で作り込む人がいるんですなぁ。
というより、これを作ろうという発想自体、思い付かないですよね
こちらはパッと見では分からない(もっとも写真でも分からない)と思いますが、
単なる木の模型に見えるも、その実枝先のひとつひとつ(葉っぱというべきか)が
何とそれぞれ折鶴になっているという。
決して大きな作品ではない、ということは、ひとつひとつの折鶴は至って小さいのでして、
何とも根気の要る作業であったろうと想像するところです。
これは段ボール箱を廃物利用した「お父さんが作るお手製おもちゃ」とも言えそう。
上からビー玉を落とすと、もはや中がどうなってるのか分からないくらい入り組んだ経路をたどって
下に落ちてくるわけですね。
こうまで複雑でないものなら、真似て作れそうな気がするものの、
子どもに「おもちゃ、作ったるけん!」と宣言しても、
「いつになったらできるの~」と痺れを切らされてしまうのが関の山かもです。
こっちは紙のブロックというところでしょうか。
決まった形のものをいくつかつなぎ合わせる点で、
そもそものピースの形が思案のしどころではないかと。
それによって、こうして積み重なったときに「いいな」と思えるかどうかの
大きな分かれ目になりましょうから。
そして、最後に大賞の作品がこちらです。
トイレットペーパーを編み編みして、クラゲ状の物体が出来上がっています。
右が編み編み前、左が編み編み後ということで。
ただでさえ千切れやすいトイレットペーパーをこれだけ編み込むには
相当手間がかかるところとは思いますが、いかんせん美的なインパクトには薄い。
で、それが大賞?と思うわけですが、この作品のタイトルが「海にとける月」というもの。
すぐには結びつかなかったものの、
気付いてみれば「海」に「月」で「海月(くらげ)」でしたですね。
それがとけるとはトイレットペーパーが水溶性であることの潜みでしょうか。
そして、先に触れましたようにトイレットペーパーの生産量が日本一である富士市は、
それだけたくさんの工場があるわけでして、その富士市の海岸は田子の浦であって、
かつては製紙工場からの排水でヘドロ公害を引き起こした、まさにその場所。
てなふうに考えてくると、
「とける」ということにまた意味深いものがあるやに思えてくるのですが、
はて、そもそもこの作品のコンセプトや大賞の選考理由に関係があるかどうか…。
チラ見くらいのつもりで立ち寄ったわりには、
面白いものが見られたなと思う「紙わざ大賞」の作品展でありました。